会社設立(法人化)の流れは大まかに次の3つです。
- 【必須】法人化|定款認証から登記申請まで|株式会社の場合は最低20万円程度〜
- 【必須】法人化後でないとできない税金・社会保険関連手続き
- 【任意】会社設立・法人の税金や社会保険に関する基礎知識の取得
この記事では、会社設立(法人化)をするまでの手続の方法や流れを説明したうえで、会社設立後にやるべきことをご説明します。
手続きを効率的・安価に進めるコツ(例、定款は電子申請すると印紙税4万円がかからず安い など)や、困ったときの相談先など、お役立ち情報を適時ご紹介しますので是非ご活用ください。
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会社設立(法人化)の流れ|手続き方法・必要書類・費用
株式会社は最低20万円程度から、それ以外の会社は最低10万円程度から設立可能です。
会社設立をする際の主な手続きは、定款の認証と法人登記申請の2つです。この手続きを進めるために、付随する作業を進める必要があります。
法人化までの流れは次のとおりです。
- 【必須】基本情報を決める|0円
- 【必須】印鑑作成|5000円~30000円程度
- 【必須】定款の作成|0円
- 【必須】公証役場で認証を受ける|3万円~9万円程度
- 【必須】資本金を払い込む|1円〜
- 【必須】登記申請をする|株式会社は最低15万円、株式会社以外は最低6万円
以下、会社設立(法人化)するまでの流れをご説明します。
最初にお伝えますが、以下の手順や注意点を覚えていただく必要はありません。法人設立ツールを使って電子申請をすれば、紙で申請するよりも30,000円やすく、項目を埋めるだけで楽に申請ができるからです。紙で申請するよりもミスをかなり減らせます。詳細は『【ヒント】定款認証・登記は電子申請で行うのが圧倒的に楽かつ30,000円も安い』にて後述します。
【必須】基本情報を決める|0円
定款作成や登記申請をするにあたって、以下の情報を決める必要があります。
種類 | 説明 |
会社形態 | 株式会社、合同会社、合名会社、合資会社のいずれにするか決定 ※この記事では株式会社を設立する前提で手続きの流れを説明 |
社名(商号) | 社名を決める。商号調査をして、同じ社名が使われていないか確認をする |
事業目的 | 定款作成時に、事業内容を過不足なく明示する必要あり。 事業内容変更手続きをするには、登録免許税3万円がかかるので、適切な内容を登記前に考えておくのが無難 |
発起人 | 会社設立手続きを進める人のこと。発起人は1株以上の出資が必要 |
設立日 | 登記申請をした日が設立日になる。郵送で申請する際は設立日を選ぶことも可能 |
会計年度 | 決算月を自由に決定できる。決算のための作業が発生するので、繁忙期を避けるのが無難 |
資本金 | 1円も可。融資を受けたり、会社の信用をアピールしたりしたい場合は、300万円程度が無難。許認可が必要な業界は、300万円以上のほうが許認可を得やすい場合も |
株価・発行株式数 | 資本金が100万円だとしたら、株価と発行株式数の積が100万円になるように決定。例:株価5万円、発行株式数20株 定款を変更しないと、発行可能株式総数(設立時の発行株式数の4倍)の上限を超えて株式を発行することができない 株式の譲渡を想定するなら、発行株式数を多めにするのが無難 |
株主構成・持株比率 | 誰がどれだけ株を持つかを決定 |
役員構成 | 役員を決める。取締役1人を決めれば会社設立は可能 |
公告方法 | 株式会社は決算公告をする義務がある。公告の方法は、官報、日刊新聞紙、電子公告の3種類。 電子公告を選ぶ場合、自社のホームページで公告できるので、費用がかからず楽です。 |
【必須】印鑑作成|5000円~30000円程度
印鑑を作りましょう。会社設立の段階で作っておくといい印鑑は次のとおりです。
種類 | 説明 |
実印 | ・会社設立時に法務局で実印を登録する必要がある ・法律上必ず作らなければいけないのは実印のみ ・紛失・盗難されないよう大切に保管 |
銀行印 | ・会社用の口座を作る際に必要 ・実印を使うこともできるが、別に作るのが一般的(悪用されるリスクを分散するためなどの理由) |
角印 | ・日常的に使う印鑑 ・領収書や請求書など、実印を使うほどでもない手続で使用 |
お近くの店舗や楽天・Amazonなどで購入できます。
【必須】定款の作成|0円
定款とは、会社の規則をまとめた文章のことです。発起人全員の同意のもと作成します。
定款はどこで手に入れる?フォーマットに決まりはない
定款の書式について決まりはありません。ただ、ワードなどを使って、A4縦サイズで作成するのが一般的です。
なお、以下の4点次第で記載するべき内容が異なります。
- 公開会社か非公開会社か
- 取締役は何人か
- 取締役会を設置するか否か
- 監査役を置くか否か
以下、定款の記載例をご紹介します。上記4点を踏まえつつ、ご自身の状況にあった記載例をご参考ください。
定款の記載例
上記の日本公証人連合会のページに、定款の記載例があります。
会社の規模が大きくなるほど記載するべき情報が多くなります。上記のページには、会社の規模別に記載例があるので、どの段階の方でも参考にしやすいかと思います。
定款に記載することを決める
定款に記入しなければいけない項目は次のとおりです。
項目 | 記載すること |
絶対記載しなければいけない項目 (絶対的記載事項) | ・商号 ・目的 ・本社所在地 ・資本金額 ・発行可能株式総数 ・発起人の氏名・住所 |
記載必須でないが、記載しないと効力がない項目 (相対的記載事項) | ・変態設立事項(設立時の変則的な取り決めのこと) ・株式譲渡制限に関する事項 ・単元株式に関する事項 ・委員会の設置 |
公序良俗に反しない範囲で自由に定められる項目 (任意的記載事項) | ・役員の人数 ・役員報酬 ・事業年度 ・株主総会に関する事項 ・株式に関する事項 |
定款は3通用意する
公証役場保存用、登記用の謄本、会社保存用原本の3通を用意しましょう。
【必須】公証役場で認証を受ける|3万円~9万円程度
定款認証はどこでするのか?
会社の本店所在地を管轄する法務局または、公証役場で行います。
定款認証は誰がするのか?
発起人全員で手続きに行くのが原則ですが、代理人に依頼することもできます。この場合は委任状が必要です。
定款認証の際に用意するもの・必要書類
- 定款3通(公証役場保存用、会社保存用、登記申請用)
- 発起人全員の実印
- 印鑑証明書を発起人全員分(1通ずつ、発行から3ヶ月以内のもの)
- (代理人が認証をする場合)代理人の身分証明書、印鑑登録証明書、委任状
定款認証にかかる費用
認証手数料
資本金の額 | 認証手数料 |
100万円未満 | 3万円 |
100万円以上300万円未満 | 4万円 |
その他 | 5万円 |
上記以外の費用 | 金額 |
登記申請用の謄本の請求手数料 | 1ページ250円。合計で概ね2000円前後 |
印紙税 | 4万円 (電子定款の場合は不要) |
電子定款で認証を受ける手順
定款の認証を受ける際は、紙の定款又は電子定款で認証を受けます。電子定款を選ぶ場合、ICカードリーダライタ代が1000円から5000円程度かかります。楽天やAmazonで安く購入できます。
やること | 説明 |
マイナンバーカードを発行してもらう | 電子証明書を発行する際に必要。お住まいの市区町村窓口で入手可能。発行までに1~2ヶ月程度かかる |
電子証明書発行手続きをする | 市区町村窓口で、マイナンバーカードに電子証明書を格納したい旨をお伝えください |
ICカードリーダライタを購入する | 電子証明書を利用する際に、ICカードリーダライタを使ってマイナンバーカードを読み込む必要がある。1000円~5000円程度で購入可能 |
定款の原文作成&公証役場に確認依頼 | ワードなどで定款を作成し、FAXなどで公証役場に確認してもらう |
定款をPDFにする | Wordの名前をつけて保存より、PDFでエクスポートできます。 |
ICカードリーダライタで、マイナンバーカーを読む | ICカードリーダライタで、マイナンバーカードの読み込みをします。 |
PDF化した定款に電子署名をする
| JPKI利用者ソフトのダウンロードより利用者クライアントソフトをダウンロードします。このソフトを使って、定款に電子署名を付与します。 |
申請をする | 登記・供託オンライン申請システムに登録後、申請用のソフトをダウンロードして電子定款の申請をしましょう。 |
公証役場でデータを受け取る | 電話で予約をしたうえで、公証役場に定款のデータを受け取りに行きます。以下を持参しましょう。 【公証役場に持参するもの】 ・USBなどの記録媒体 ・電子定款を印刷したもの2通 ・身分証明書 ・印鑑 ・発起人全員の印鑑証明書 ・電子署名をした方以外の委任状 ・認証手数料3万円~5万円 |
【必須】資本金を払い込む|1円〜
定款認証が終わったら、発起人の個人口座に資本金を払い込みます。
登記申請をする際に資本金払い込みを証明する必要があるので、通帳の表紙と振込履歴が記載されているページをコピーしてください。
資本金の金額は、1円以上です。会社の信頼感を出すために資本金の金額を100万円~300万円程度にすることもあるので、必要に応じて金額をご検討ください。
許認可が必要な業界で起業される方は、資本金の金額をもう少し検討する必要があります。例えば、一般建設業許可の場合は財産要件があって、自己資本が500万円以上であるか、500万円以上の資金調達能力があることを証明する必要があります。
許認可が必要な業界で起業する場合は、資本金がいくら必要なのか別途調べてください。
【必須】登記申請をする|株式会社は最低15万円、株式会社以外は最低6万円
登記申請の方法
オンラインで申請をしましょう。令和4年9月1日から支店の所在地での登記は廃止されるためです。
以下のページより、ご自身の会社形態をクリックし、手続きを進めてください。
法人登記の費用(登録免許税)
会社の種類と資本金の額に応じて、次のとおり登録免許税がかかります。
種類 | 税額 |
株式会社 | 以下のうち高い方 ・資本金7/1000にあたる額 ・15万円 |
合同会社 | 以下のうち高い方 ・資本金7/1000にあたる額 ・6万円 |
合名会社 | 6万円 |
合資会社 |
登記申請の必要書類
申請をする際は、以下の書類を添付する必要があります。
【取締役会を設置しない株式会社で、発起人2名が設立時取締役になる場合】
必要書類 | 説明 |
定款 | 認証済みの定款1通 |
登記申請書 | 法務局|商業・法人登記の申請書様式より入手可能。 |
登録免許税納付用台紙 | 登録免許税は収入印紙で納付します。A4サイズの台紙に上でご紹介した登録免許税と同額の収入印紙を添付して提出。 台紙は法務局窓口でもらえますが、規定はないのでA4の紙であれば大丈夫です。 |
登記すべき事項を書いた書面 | 定款に書かれていない内容を補足する書面 |
資本金の払込を証明する書面 | 預金通帳の写し、取引明細票をPDF化し、代表取締役が作成した証明書と結合。電子署名が必要 |
発起人の同意書 | 以下が定款に定められていない場合に必要。 ・発起人が割当てを受けるべき株式数及び払い込むべき金額 ・資本金及び資本準備金の額 ・株式発行事項又は発行可能株式総数 発起人2名の電子署名が必要 |
設立時取締役選任及び本店所在場所決議書 (監査役を設置する場合は以下が必要) 設立時取締役選任,設立時監査役選任及び本店所在場所決議書 | 定款に以下が定められていない場合に必要 ・設立時取締役 ・設立時監査役(監査役を設置する場合のみ必要) ・本店所在地について最小行政区画まで 発起人2名以上の電子署名が必要です。 |
代表取締役の就任承諾書 | 以下の全てに当てはまる場合は不要 ・定款に代表取締役の定めがある ・代表取締役が発起人である ・代表取締役が作成者として定款に電子署名をしている 代表取締役の電子署名が必要。 |
取締役の就任承諾書 | 以下の全てに当てはまる場合は不要 ・定款に取締役の定めがある ・取締役が発起人である ・取締役が作成者として定款に電子署名をしている 取締役の電子署名が必要。 |
設立時監査役の就任承諾書 (監査役を設置する場合に必要) | 以下の全てに当てはまる場合は不要 ・定款に設立時監査役の定めがある ・設立時監査役が発起人である ・定款の作成者として定款に電子署名を行っている 監査役の電子署名が必要 |
参考:株式会社の設立の登記申請(オンライン申請)に必要な添付書面情報
【ヒント・PR】定款認証・登記は電子申請で行うのが圧倒的に楽かつ30,000円も安い
こだわりがない限り、会社設立の手続きはツールを使って電子申請で行うのが、時間とお金の節約になります。
freee会社設立を使って会社設立をするメリットは…
- 項目に入力をするだけで、会社設立に必要な書類を作れる
- 起業ダンドリコーディネーターに相談できる
- 電子申請をするのであれば印紙税4万円がかからない:freee会社設立は5000円で利用できるので、ICカードリーダライタを購入(1000円~5000円程度)したとしても、紙の申請よりも30,000円やすい
ツールを使わずに電子申請をするのが最も安いですが、この場合は記載内容や手続きの仕方を調べなければいけませんし、間違うリスクもあります。自力で進めるときの時間のロスを考えると、5000で会社設立の必要書類を作れるのはかなりコスパがいいはずです。
【ヒント】定款作成・登記申請でわからないことがあれば、法務局に聞きましょう
会社設立手続きでわからないことがあれば、法務局に聞きましょう。手続き方法について、無料で相談ができます。事前の予約が必要で、相談できる時間は30分程度です。
法務省のホームページです。…
会社設立(法人化) 後のやることリスト|手続き方法・必要書類・費用
ここからは、会社設立が完了した後のやることをご紹介します。主に税金や社会保険に関する手続きが必要になります。
【必須】法人口座の開設
法人口座の開設には審査があり、開設まで時間がかかるので、登記後なるべく早めに対応しておいた方が段取りが良くなります。
法人口座開設時に必要になることが多いものは次のとおりです。
- 口座開設申込書
- 商業登記簿謄本
- 会社の定款
- 会社の印鑑証明書
- 会社の実態がわかる資料
ただ、持参するべきものは金融機関によって異なる場合があります。口座開設をする際は、予約が必要になることが多いです。予約をする際に持ち物を確認するのが確実です。
【必須】税務署で手続きをする
会社の本店所在地を管轄する税務署に行き、以下の手続きをしましょう。
手続き名 | どんなときに提出? | 説明 |
法人設立届出書 | 必須 | 登記後、法人番号通知書が届きます。法人番号を記入し、法人設立届出書を提出します。 |
青色申告の承認申請書 | 青色申告による控除を受けたいとき | 最大65万円の特別控除が得られる |
給与支払い事務所等の開業届出書 | 従業員に給与を払うなら必要 自身に役員報酬を払う場合も必要 | ― |
源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書 | 任意 | 源泉徴収税は本来報酬支払日の翌月10日までに納付しなければならない。手続きをすることで、年2回にまとめて納付できるようになり、作業の手間が減る |
棚卸資産の評価方法の届出書 | 任意 | 棚卸資産の評価方法を、最終仕入原価法以外にしたい場合に提出 |
減価償却資産の償却方法の届出書 | 任意 | 法定減価償却方法以外で減価償却をしたい場合に提出 |
【必須】市町村役場等で手続きをする
法人設立届出書を提出します。
提出先 | 添付書類 | 期限 |
都道府県税事務所 | ・定款の写し ・登記簿謄本 | 会社設立から1月以内 |
市区町村役場 | 会社設立から2月以内 |
【業種次第で必須】許認可に関する手続きをする
上記に該当する業種をはじめるためには、許可や登録、免許が必要です。該当する業種で事業を始める方は手続きをしましょう。業種によって、申請先が異なります(国土交通省、保健所、税務署、警察署など)。許認可が必要な業種については、数が多いのでこちらでの説明は割愛させていただきます。「(業種) 許認可」「(業種) 許認可 申請先」などで検索してください。
【必須】年金事務所で手続きをする
すべての法人と、従業員が5人以上の個人事業主は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用を受けるための手続きをしなければなりません。提出書類は次のとおりです。
【必須】健康保険・厚生年金保険新規適用届
健康保険・厚生年金保険に初めて加入する際に必要な届出です。
入手方法・入手先 | 新規適用届|日本年金機構 |
記入例 | 記入例|日本年金機構 |
必要書類 | 法人登記簿謄本 法人番号指定通知書のコピー 個人事業主のみ:事業主の世帯全員の住民票 個人事業主のみ:代表者の公租公課の領収書1年分 |
提出先 | 会社がある地域を所轄する年金事務所 |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 会社設立から5日以内 |
【必須】健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
従業員を採用した際に、従業員を健康保険・厚生年金保険に加入させる際に必要な手続きです。
入手方法・入手先 | 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届|日本年金機構 |
記入例 | 記入例|日本年金機構 |
必要書類 | 原則不要
60 歳以上の方が、退職後 1 日の間もなく再雇用された場合①と②両方又は③ ① 就業規則、退職辞令の写し(退職日の確認ができるものに限る) ② 雇用契約書の写し(継続して再雇用されたことが分かるものに限る) ③ 「退職日」及び「再雇用された日」に関する事業主の証明書 |
提出先 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 資格取得日から5日以内 |
【任意】健康保険被扶養者(異動)届
被保険者の家族を被扶養者にする際に必要な手続きです。
入手方法・入手先 | 健康保険被扶養者(異動)届|日本年金機構 |
記入例 | 被扶養者になる場合の記入例|日本年金機構 |
必要書類 | 健康保険被扶養者(異動)届 |
提出先 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 事実発生から5日以内 |
【任意】健康保険・厚生年金保険 任意適用申請書・同意書
社会保険任意適用の事業所(5人未満の個人事業所またはサービス業の一部・農業・漁業等の個人事業所)の方が社会保険に加入する際の手続きです。
入手方法・入手先 | 任意適用申請書|日本年金機構 |
記入例 | 記入例|日本年金機構 |
必要書類 | (1)任意適用申請書 (2)任意適用同意書(従業員の2分の1以上の同意を得たことを証する書類) (3)事業主世帯全員の住民票(コピー不可) (4)公租公課の領収書(原則 1 年分)(コピー可) |
提出先 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | – |
【任意】健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付申出書
社会保険料を口座振替にしたいときに提出する書類です。申込書は2部(金融機関用、年金事務所用)あります。
入手方法・入手先 | 健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付申出書 |
記入例 | 記入例(3ページ目) |
必要書類 | なし |
提出先 | 2部とも金融機関に提出 辺戻された申込書の1枚目を年金事務所または事務センターに提出 |
提出方法 | 窓口持参、郵送 |
提出期限 | – |
【雇用するなら必須】労働基準監督署・ハローワークで手続きをする
従業員を1人以上雇用する場合は、労働保険(労災保険・雇用保険)の適用を受けるための手続きです。業種によって、書類の提出先が異なります。ご自身の業界が一元適用事業と二元適用事業のどちらに該当するのかをご確認ください。
説明 | 具体例 | |
一元適用事業 | 労災保険・雇用保険の申請と納付を一元的に扱う事業 | 二元適用事業(下)以外 |
二元適用事業 | 労災保険・雇用保険の申請と納付を別々に扱う事業 | ①都道府県及び市区町村が行う事業 ②①に準ずるものの事業 ③港湾労働法の適用される港湾の運送事業 ④農林・水産の事業 ⑤建設の事業 |
【必須】保険関係成立届
一元適用事業の場合(保険関係成立届)
入手方法・入手先 | 労働基準監督署もしくはハローワークの窓口でもらうか郵送してもらう |
記入例 | 記入例|厚生労働省 |
必要書類 | 1.事業所が実在することを証明するための書類 (法人は法人登記簿謄本のコピー、個人事業主は代表者の住民票) 2.労働保険概算保険料申告書 |
提出先 | 所轄の労働基準監督署 |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 保険関係が成立した日から10日以内 |
二元適用事業の場合(保険関係成立届)
入手方法・入手先 | 労働基準監督署もしくはハローワークの窓口でもらうか郵送してもらう |
記入例 | 記入例|厚生労働省 |
必要書類 | 1.事業所が実在することを証明するための書類 (法人は法人登記簿謄本のコピー、個人事業主は代表者の住民票) 2.労働保険概算保険料申告書 |
提出先 | 所轄の労働基準監督署 |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 保険関係が成立した日から10日以内 |
【必須】概算保険料申告書
一元適用事業の場合(概算保険料申告書)
入手方法・入手先 | 労働基準監督署もしくはハローワークの窓口でもらうか郵送してもらう |
記入例 | 記入例|厚生労働省 |
必要書類 | – |
提出先 | 以下のいずれか ・日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可) |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 被保険者を雇用した翌日から50日以内 |
二元適用事業の場合(概算保険料申告書)
入手方法・入手先 | 労働基準監督署もしくはハローワークの窓口でもらうか郵送してもらう |
記入例 | 記入例|厚生労働省 |
必要書類 | – |
提出先 | ・所轄の都道府県労働局 ・日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可) |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 被保険者を雇用した翌日から50日以内 |
【必須】雇用保険適用事務所設置届
初めて人を雇ったときに、事業所が雇用保険の適用を受けるための手続きです。
入手方法・入手先 | 雇用保険適用事務所設置届|内閣府 |
記入例 | 記入例|厚生労働省 |
必要書類 | 1.雇用保険被保険者資格取得届 2.労働保険関係成立届の事業主控え(労働基準監督署が受理したもの) 3.労働者の雇用・賃金の支払状況等を証明できる書類 (労働者名簿、賃金台帳、出勤簿又はタイムカード、雇用契約書 のいずれか) 4.事業の実態がわかる書類 (登記事項証明書、事業許可証、工事契約書、不動産契約書、源泉徴収簿、他の社会保険の適用関係書類) |
提出先 | 管轄の公共職業安定所(ハローワーク) |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 加入対象の従業員を雇用してから10日以内 |
【必須】雇用保険被保険者資格取得届
雇用した人を雇用保険に加入させる際に必要な手続きです。
入手方法・入手先 | ハローワーク インターネットサービスより印刷 |
記入例 | 記入例|厚生労働省 |
必要書類 | 原則不要 |
提出先 | 管轄の公共職業安定所(ハローワーク) |
提出方法 | 原則不要 期限を過ぎた場合は、雇用したことを証明する以下のいずれかの書類 ・賃金台帳 ・労働者名簿 ・出勤簿 など |
提出期限 | 被保険者にする従業員を雇用した月の翌月10日まで |
【雇用するなら必須】勤怠管理・給与計算の準備をする
人を雇用する場合は、勤怠管理と給与計算に使うシステムの選定をしましょう。
以下の記事でシステムの比較をしているので、まだシステムを選んでいない場合はご参考ください。
初めて人を雇うときや、従業員が入社・退社するときにやることについては以下のページで詳しく説明しています。
【任意】確定申告の用意をする
確定申告の用意をしましょう。収支を記録しておかないと、期限が迫ってきてから慌てなければなりません。
【なるはや】事業用のクレジットカードを作る
事業専用のクレジットカードを作り、事業関連の入金や支払いを1つのカードに集約しましょう。この対応をすることで、確定申告ツールに取引履歴を読み込ませて自動で仕分けができるようになります。事業用に作った口座に紐づいたクレジットカードを作りましょう。
【任意】税金・保険料・家賃・水道光熱費ガス代を口座振替にする
費用として計上できる出費を全て口座振替、あるいはクレジットカード払いにしましょう。確定申告のツールを使って自動で仕分けをする目的です。
【必須】紙で税金や保険料を支払ったときは明細をとっておく
紙で支払いをした際は、明細を保存しておきましょう。
【12月~2月くらいに対応】確定申告用のツールを選ぶ
freeeやマネーフォワードを使って確定申告をしましょう。手作業でやるよりもかなり楽です。◯×を選択したり、指示に従って項目を入れたりするだけで確定申告ができます。筆者が初めて確定申告をする際は、2日で確定申告ができました。初めて確定申告をする場合、例えば今年度支払った税金額を確認するときなどに思いのほか時間がかかったりするので、2月中ばくらいから確定申告の準備を進めておくと安心です。
【任意】インボイス制度に登録すべきか判断する
インボイス制度に登録するかどうかの判断をしましょう。インボイス制度の概要や、どんな事業主がインボイス制度についてよく知っておくべきか、加入するかしないか判断する基準をご案内します。
- インボイス制度の概要
- インボイス制度に登録するデメリットが大きいのは年間売上1000万円未満の事業主
- インボイス制度に登録しないと何がまずいのか
- インボイス制度に加入した方がいい人
- インボイス制度に加入しなくても不利益が少ない人
- インボイス制度への登録方法
インボイス制度の概要
インボイス制度は、消費税を適切に徴収するために、請求書のフォーマットを適切にしたり、請求書をちゃんと保存したりしましょうね、という制度です。
消費税を支払うのは課税事業主です。例えばレストランで食事の料金と消費税を支払った場合、レストランを経営する企業(課税事業主)が消費税を国に納付します。
インボイス制度に登録するデメリットが大きいのは年間売上1000万円未満の事業主
年間売上が1000万円以上の事業主は、もともと消費税を納付する義務があるので、インボイス制度が導入されても影響はそれほどありません。
影響があるのは、1000万円未満の免税事業主です。免税事業主の場合、お客さんから消費税を徴収しても、国に収める義務がありませんでした。インボイス制度に登録するには課税事業主になる必要があるので、今までは納付する義務がなかった消費税を国に納付しなければいけなくなります。
インボイス制度に登録しないと何がまずいのか
インボイス制度に登録しないと、取引先(課税事業主)の税負担が増えます。これは、適格請求書がないと、事業主が支払った消費税を控除できなくなるためです。
そのため、外注費用が同じでインボイス制度登録済みの事業者がいた場合、こちらの事業主の方に仕事を発注するようになることが考えられます。
非課税事業主は、消費税を支払うか、契約を解除されるリスクを負うのか、どちらかを選択しなければなりません。
ここまでの点を踏まえつつ、インボイス制度に加入した方がいい事業主、加入しなくてもリスクが少ない事業主を紹介します。
インボイス制度に加入した方がいい人
- 顧客が法人(課税事業主である)
- 競争が激しい職種・業種である
上記に当てはまる場合、顧客の視点からすると、こちらに仕事を発注するための費用が消費税率分増額することになるので、もっと安い外注先がいればそちらを検討しようかな?と思われてしまう恐れがあります。
インボイス制度に加入しなくても不利益が少ない人
一方、加入しなくてもリスクが少ないのは次の事業主です。
- 顧客が個人
- 顧客が非課税事業主
- 変えがききにくい仕事をしている
個人や非課税事業主は、自分で直接国に消費税を納付しているわけではないので、こちらがインボイス制度に登録しているかどうかは問題になりません。
インボイス制度への登録方法
郵送またはe-Tax(電子申請)にて登録が可能です。以下の国税庁のページをご参考の上、手続きを進めてください。
…
【おまけ】会社設立(法人化)前後のやることリスト|起業とお金のお勉強
独立されたての方であれば、ご自身のビジネスや売上を増やすための方法などはよく考えられているかと思います。一方で、支出を減らす部分、特に税金や保険料については、あまり知らない方も多いでしょう。とはいえ、本を購入して勉強をするのは手間がかかります。
そこで、ここではおまけとして、創業したての経営者が知っておきたい、お金の知識を身につけられるサイトやページをご紹介します。いずれも行政機関・公益法人による信頼できるサイトです。創業時に考えるべきことや、税金、保険料、年金の勉強を無料でしてしまいましょう。ガッツリと詳しくならなくても、全体像を押さえておくだけで恩恵があるように思います。
【任意】日本政策金融公庫|創業の手引き
学べること
- 創業前に確認するべきこと
- 創業計画書の作成方法
- ビジネスプラン・収支計画・売上予測の立て方
- 許認可・届出について
- 経理・税金・資金繰り
- 従業員採用 ほか
創業をする際に知っておくべき基礎知識を幅広く学べます。初期の段階で知っておくと有益な情報が豊富で、例えば、創業計画書は、融資や補助金を受けるために使います(事業計画書も必要)。このように、知っておくだけでお金事情に直結するトピックも豊富です。
【任意】金融庁|金融ガイド
金融庁|金融ガイド
学べること(資産形成のための金融商品について学べます)
- 家計管理・生活設計
- 預貯金
- 株式・債権・投資信託
- 生命保険・損害保険
- クレジット・ローン
これらの知識があると、金銭的に追い込まれたときの悪影響を少なくできます。
例えば、事業がうまくいかずに自己破産をする例で考えてみましょう。自己破産をすると財産が没収されるので、貯金で資産形成をしていた場合は貯金がなくなります。一方、iDeCoや国民年金、厚生年金、企業年金などは差押禁止債権なので、自己破産や離婚による財産分与などで没収されることはありません。
また、自己破産をしても、全ての借金が消えるわけではありません。税金や従業員の給与などは非免責債権といって、自己破産をしても支払いを免除されません。
借金はしないに限ったことはありませんが、非免責債権について知っているだけでも、どのお金を滞納すると特にまずいのかをわかったうえで生活ができます。
ここまで小難しいことは書いていないのですが、お金を守るための知識を身につける第一歩としては悪くないかと思います。
【任意】全国法人会総連合|会社の税金ガイドブック
学べること
- 青色申告について(税法上の特典を受けられる)
- 会社にかかる税金の種類
- 確定申告について
- 中小法人への優遇制度
- 役員報酬
- 減価償却 ほか多数
税金についても、知らなすぎると無用な出費をすることになります。例えば、確定申告をしないと、税務署に調査をされたのち、無申告加算税(納税額の15%~20%)と延滞税(最高で年14.6%)の支払いを命じられることがあります。また、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処さられる恐れも。
一方、確定申告をすれば、払い過ぎていた税金の還付を受けられます。
上記のように、税金について知らないと、お金を損するばかりか刑事罰の対象になることもあります。この機会に概要を勉強されてはいかがでしょうか。
【任意】金融庁|公的保険ポータル
学べること
- 公的な保険・年金の補償内容
- 民間の保険・年金の補償内容
結婚や出産など、何かきっかけがないと民間の保険に興味を持つ機会は少ないかと思います。一方、公的な保険については強制加入で、どのみち出費が発生することになります。
であれば、どうなったときにどんな補償を得られるのかを知っておくに越したことはないでしょう。病気や怪我で働けなくなったり、障害が残って収入を維持できなくなったりしたときに公的な保険の補償を得られます。働けなくなったときのライフラインになるので、概要だけでも押さえておくと安心です。
【任意】厚生労働省|わたしとみんなの年金ポータル
「わたしとみんなの年金ポータル」は、年金について知っておきたいことがすぐに探せるポータルサイトです。一人ひとりのライフス…
学べること
- 老齢年金
- 障害年金
- 遺族年金
- 保険料が払えない時はどうすればいい?
- 海外で暮らすことになったら保険料・年金はどうなる? ほか多数
年金の全体像が学べます。年金が支給されるのは、高齢者になったときや、後遺障害をおったときなので、目の前に差し迫った問題ではないので、急いで勉強しよう、とはなりにくいトピックかと思います。
ご自身が老齢年金を毎月いくらくらいもらえそうかがわかれば、追加でいくら貯めておかなければいけないかイメージしやすくなります。将来のお金のことを考えたくなったタイミングで詳しく調べてみるといいかもしれません。
【任意】Jnet21で創業時に使える補助金を調べる
「支援情報の検索(支援情報ヘッドライン)」を掲載しています。経営に役立つ最新情報を紹介しています。…
補助金、助成金、融資、税制、出資の情報を検索できるサイトです。
地域、分野(起業・創業もある)、詳細条件、フリーワードを入れて検索できます。
ご自身が利用できそうな補助金・助成金を探すのもいいかもしれません。
【余裕が出てきたら】iDeCoなどで節税しながら資産形成
課税所得が年間800万円を超えると、法人税率が上がります。課税所得は、収益から費用を引いて計算します。ある程度儲かり始めたら、費用として計上できる項目について勉強することで、ご自身の資産を守れるようになります。
費用として計上できる項目については、間違えると脱税の温床になりかねません。顧問税理士と相談をしたうえで、何を費用にできるのかを学んでいけると安心です。
ここでは、費用にできる項目のうち、資産を守ったり、急な出費に対応したりと、セーフティネットとして使えるものをご紹介します。
項目 | 説明 | メリット |
小規模共済 | 経営者が自身の老後資金を積み立てる際に使える制度。 事業終了後にまとまった金額が支払われる | ・掛金が所得控除の対象になる ・節税しながら資産形成ができる ・貸付制度がある。掛け金の一定割合までを低金利で借りれる ・自己破産や財産分与での差押の対象にならない |
iDeCo | 自分で積み立てる年金。元本確保型商品、投資信託に非課税で投資が可能。 | ・掛金が所得控除の対象になる ・運用益は非課税 ・受け取る際も控除の対象に ・自己破産や財産分与での差押の対象にならない |
ふるさと納税 | 好きな自治体に寄付できる制度。税金の還付、控除を受けられる | 寄付額に対して仕入れ値の30%までの返礼品を受け取れる。 |
小規模共済、iDeCo共通のデメリットとして、資金が一定期間拘束されて自由に使えない点があります。そのため、ある程度資金繰りに余裕が出てきた段階で利用するか、あるいは掛け金の額を少なめで始めるのが無難です。
上記のデメリットはあるものの、掛け金の一定割合の範囲で借入ができたり、自己破産時に差押されなかったりと、財産を守る役割が期待できます。
まとめ
以上、会社設立までの手続と、会社設立後の手続きをご紹介しました。
最低限必要な手続きを済ませつつ、手が空いたときに税金や社会保険の基礎知識を身につけることで、資金繰りに困ったときに慌てずに済むようになります。
手続きを進める際は、提出先の行政機関に必要に応じて相談をしたり、会社設立ツールや税理士・社労士への相談を活用したりして抜け漏れや忘れがないように対応しましょう。