持続化給付金とは、新型コロナウイルスの影響で前年同月比50%以上の売上減少の月があった事業者が受けられる給付金で、法人は最大200万円、個人事業主は最大100万円の給付額を受け取ることができます。
申請開始初日から5万6千件、わずか2週間で70万件を超えるなど、かなり多くの事業者が申請をしている状態です(参考:朝日新聞)。
新型コロナウイルスの影響が如何に大きいかも物語っていますが、持続化給付金の受けやすさにも特徴があることも申請の多さに影響があると考えられます。
今回は、持続化給付金の基礎知識として、給付条件や給付額、申請方法などについてご説明します。
持続化給付金とは?主な対象者や給付額
冒頭でもお伝えしたように、持続化給付金とは、新型コロナウイルスの影響で売上減少があった事業者が対象になる給付金のことで、前年同月比50%以上減額の月があれば最大200万円(個人事業主は100万円)の給付金を受けることができます。
新型コロナウイルスの影響によって、業界を問わず多くの事業者の事業そのものの存続の危機にさらされています。
金額的には一時的かもしれませんが、新型コロナウイルスの影響で売上減にならざるを得ない状況になった事業者が廃業することなく今後も事業を続けていくために持続化給付金があるのです。
持続化給付金の役割と主な対象者
持続化給付金が認められる細かい条件については後述しますが、主な対象者を先にお伝えすると以下の内容となります。
事業者限定の給付金
持続化給付金は、事業の継続を支援するための給付金となりうますので、そもそもの対象者は事業者に限られます。一般の方が受けることはできません。
売上減の事実がある事業者
また、新型コロナウイルスの影響により売上が著しく減少した事業者に絞られてきます。1ヶ月でも前年月比50%を超える減少がなければ利用はできません。
事業を続ける意思がある場合
“持続化”給付金ですので、事業を継続するために使ってもらう目的があります。もしすでに売上減に伴って事業を廃業しようと考えている場合には、給付金を受けられない可能性が出てきます。
まだ持続化給付金を受けていない方
持続化給付金の申請期間は2021年1月15日までと、給付金にしては長めの期間が設けられています。1度持続化給付金を受けて、その後も売上が上がらない状態が続いても、2度目以降を受けることはできません。
持続化給付金で受けられる給付額と計算方法
気になることは実際に受けられる給付金額ですね。冒頭でも触れましたが、法人=200万円、個人事業主=100万円の上限で給付金を受け取ることができます。
あくまでも上限額ですので、給付額を決める計算で上限を下回れば上限より低い給付額にもなるでしょう。計算方法と一緒に持続化給付金の給付額をご説明します。
上限額が50万円上乗せされるとのニュースも出ており、今後も変更になることは考えられますので、申請時に公式サイトの方もご確認いただきますようお願いします。本記事では上乗せされる前の公式サイトに載っている金額でご説明します。
参考:「持続化補助金の上限上乗せも 事業再開へ支援拡充 新型コロナ|NHK」
法人の場合|上限200万円
繰り返しますが、法人の持続化給付金の上限は200万円です。この金額は上限であって、以下の計算方法で上限を下回ればその金額が持続化給付金での給付額となります。
例えば、前年の総売上1,000万円、売上が50%以上減額した月の売上が50万円だったとします。
この例では上限200万円を超えた400万円になりますね。よって、200万円の持続化給付金を受けることができます。
ちなみに、50%以上の売上減があった月は自由に選ぶことが可能です。例えば、80万円の月と50万円の月があったとすれば、金額が低い50万円の月を選択して計算すべきです。80万円の月で計算してしまうと、40万円しか給付されませんが、50万円で計算することで上限いっぱいの200万円を受けることができます。
個人事業主の場合|上限100万円
個人事業主の場合も法人と基本的な考え方や計算式は同じですが、上限が100万円にまで下がります。
持続化給付金を受けられる事業者の条件
上記でもご説明した内容と重複する部分もありますが、こちらでは持続化給付金を受けられる事業者の条件についてご説明します。
前年同月比50%以上の売上減少の月がある
まず、持続化給付金を受ける第一の条件として、前年同月比50%以上の売上減少があることです。仮にその後立て直して売上が戻るようになったとしても、1ヶ月でもあれば問題ありません。
『新型コロナウイルスの影響等により』とありますが、新型コロナウイルスの影響を証明するような書類提出は不要ですので、実際には売上が下がったことが分かる資料が準備できれば問題ないでしょう。
2019年以前から事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思がある
持続化給付金は事業者を対象にした給付金ですので、過去の事業所得と今後の事業継続の意思がある必要があります。
すでに廃業してしまった場合には給付金を受けることができませんし、2019年から事業を開始したという方は後述する特例を参考にしてください。
法人の場合の追加要件
法人で持続化給付金が受けられるのは、中小企業に限られます。具体的には以下のいずれかの要件を満たしている法人に限られます。
- 資本金/出資額の総額が10億円未満
- 常時使用する従業員数が2,000名以下
よっぽどの規模がある企業でもなければ、いずれかの要件は満たすでしょうから、法人の条件も満たされるでしょう。
2019年以降に事業を始めた場合の特例
2019年に事業を始めた場合、前年の総売上が1年分ありませんし、そもそも対比する月にまだ事業を開始していないこともありますね。そこで、2019年に事業を開始した事業者は特例での計算を利用して持続化給付金を受けることができます。
まず給付の条件としては、2019年の月平均事業収入よりも50%以上売上が減少している月があることです。その上で以下の計算式に当てはめていきます。
例えば、以下の内容だったとします。
- 年間事業収入=600万円
- 設立後月数=6ヶ月
- 50%以上売上減があった月の売上=50万円
これを計算式に当てはめると、
となり、給付額の上限を超えるので上限分給付できることになります。
2019年から事業を始めた方でも、持続化給付金を受けられる可能性は十分に考えられますので、一度こちらの計算方法で計算してみてください。
受給できない要件
- 国、法人税法別表第一に規定する公共法人
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する「性風俗関連特殊営業」、当該営業に係る「接客業務受託営業」を行う事業者
- 政治団体
- 宗教上の組織若しくは団体
- (1)から(4)までに掲げる者のほか、給付金の趣旨・目的に照らして適当でないと中小企業庁長官が判断する者
持続化給付金には上記の不給付要件があります。事業内容や団体の属性によっては受けられない可能性もありますのでご注意ください。
持続化給付金の申請方法と必要書類
1ヶ月だけでも大幅な売上減少があった月があれば受けられる給付金で、金額もそれなりに大きいので、上記の条件に該当する方はぜひとも持続化給付金の申請を進めていいただければと思います。
最後に、持続化給付金の申請方法と必要書類についてご説明します。
持続化給付金申請の主な流れ
持続化給付金の申請は基本的には公式サイトを通じてインターネット上で行うことになります。各都道府県に『サポート会場』が設けられていますが、元はと言えば新型コロナウイルスのせいでできた給付金ですので、むやみやたらに人が集まり得る場所に出向くことはおすすめできません。
ご自身で調べて、問い合わせもしてみたもののそれでも分からないという場合に限りサポート会場を利用してみても良いのかもしれません。ちなみに、サポート会場の利用は予約制になっていますので、ご注意ください。
要件の確認と必要書類の準備
まずは、今回お伝えした内容や公式サイトでの条件をご自身の状況に当てはめてみて、該当する方のみ申請に進みましょう。また、必要書類についても申請前に揃えておくとスムーズでしょう(必要書類については後述します)。
公式サイトでの登録
申請のために持続化給付金専用のサイトが公開されています。インターネットでの申請は持続化給付金の公式サイトから行うようにしましょう。こちらから、登録、必要情報の入力、必要書類のアップロードなどの申請に必要な手続きを行うことができます。
『申請する』とオレンジ色のボタンが設置されているので、そちらから登録を行ってください。
【公式サイト】「持続化給付金|中小企業庁」
新型コロナウイルスに便乗した悪質な詐欺行為を行っている人間もいます。個人情報等を抜き取るような詐欺サイトではないかを確認したうえで、申請に進んでください。
また、国や機関を語って銀行口座や暗証番号、個人情報などを聞くようなことはありませんので注意しましょう。
参考:「「持続化給付金」なりすましサイト・SNSにご注意ください|中小企業庁」
申請をする
申請に必要な情報・書類については後述しますが、公式サイト上で持続化給付金の申請ができ、必要情報の入力と必要書類のデータをアップロードするだけです。
登録した銀行に給付金が入金される
情報を登録する項目では持続化給付金が振り込まれる銀行口座の情報も入力します。指定の銀行口座に給付金が振り込まれて完了となります。
▼審査期間は2週間を目安に…
申請から審査完了→振込みまでは目安として2週間を考えておきましょう。ただし、5月23日現在、多くの申請があることもあり、審査に時間がかかっているようです…。2週間以上かかることは十分に想定しておく必要がありそうですね。
このように、初日(5/1)に申請しても5月21日時点で審査すら終了していない方もチラホラ見られるようです…。
また、あくまでも審査が済む期間ですので、不備があった場合、約2週間後に不備があったとの連絡→再提出を経てまた数週間待って入金があるという流れになります。申請する際には入力する情報や必要書類をしっかり確認するようにしましょう。
参考:「申請から給付にかかる時間につきまして|持続化給付金」
持続化給付金申請に必要な情報と書類
こちらでは持続化給付金の申請で入力する情報と必要書類についてご説明します。
申請のために入力する情報
- 法人番号※法人の場合
- 屋号・商号・雅号
- 本店所在地住所
- 書類送付先※本店と別の場合
- 業種
- 資本金※法人の場合
- 従業員数※法人の場合
- 代表者役職
- 代表者氏名
- 代表電話番号
- 担当者氏名※法人の場合
- 担当者電話番号※法人の場合
- 担当者メールアドレス※法人の場合
- 直近年度の売上
- 決算月
- 売上減少月の金額
持続化給付金申請のために必要な情報は上記の通りです。項目は多いですが、特に難しいような内容でもないので、しっかり確認しながら項目を埋めていってください。
申請に必要な書類
- 前年度年分の確定申告書類の控え
- 売上減少となった月の売上台帳コピー
- 通帳のコピー
- 身分証明書のコピー※個人事業主の場合
持続化給付金の申請で必要な書類は上記の通りです。以下ではそれぞれの書類についてもう少し詳しくご説明します。
ちなみに、必要書類の一部は画像ファイルでの提出も可能ですが、『PDF』『JPG』『PNG』いずれかの形式で提出するようにしましょう。特にiPhoneで撮影した画像はファイル形式が違う場合があり、不備になり得ますので注意が必要です。
▼前年度分の確定申告書類の控え
●法人事業概況説明書の控え(2枚)
法人の場合は、決算月によって違いますので、売上減少があった月の直前の事業年度分の確定申告書の控えを提出してください。収受日付印が押されたものでないと給付が認められないと考えられますのでご注意ください。
●所得税青色申告決算書の控え(2枚)
個人事業主の場合、2019年分の確定申告書控えを提出しましょう。白色申告の方、月間事業収入の記載がない方は、2019年の月平均の事業収入と対象月の減少率を比較することとなります。こちらも収受日付印が押されている必要があります。
▼売上減少となった月の売上台帳コピー
売上台帳とありますが、名称が売上台帳でなくてもその月の売上がしっかり証明できるものであれば問題ありませんし、フォーマットも問われません。
- 経理ソフトで作成したデータ
- Excelで作成したデータ
- 手書きをコピーしたもの
主に上記の形で提出することになります。
▼通帳のコピー
- 通帳の表紙
- 1~2ページ目
- 電子通帳の画面コピー※紙通帳がない場合
申請者名義の口座コピーも提出します。銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・名義人が分かる書類を用意しましょう。紙通帳の場合は上記の①②を、電子通帳の場合は③を提出します。
▼身分証明書のコピー※個人事業主の場合
個人事業主の場合は、ご本人の身分証明書の提出も必要です。
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- 住民基本台帳カード
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- 外国人登録証明書
- パスポート+住民票
- 健康保険証+住民票
上記いずれかの身分証明書を提出しましょう。
申請は2021年1月15日まで
持続化給付金の申請は2021年1月15日までと、ある程度長さが設けられています。ただし、上記でもお伝えしたように申請から支給まで時間がかかっていることもありますので、ご自身が対象だと分かった時点で早めの申請を行うことをおすすめします。
ちなみに、先着順で締め切られるようなことはありませんのでご安心ください。
まとめ
持続化給付金は、新型コロナウイルスの影響で前年同月比50%以上の売上減少の月が1回でもあった場合に事業者の方が受けられる給付金です。
特に難しい要件があるわけでもなく、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者であれば、多くの方が対象となってくるでしょう。申請もインターネットだけで完結させることもできますので、ぜひ積極的に利用できる給付金は利用していきましょう。
一方、金額も大きく申請者も多い給付金でもありますので、申請から給付まで時間がかかっているようです。目安としては約2週間ですが、それ以上かかることは十分にあり得ます。該当する場合にはお早めに申請を進めていってください。