起業・経営をしていると、受けられる助成金は数多くあります。資金調達のために受けられる助成金は漏れなく受けておきたいところですが、手続きも複雑で審査もあるため助成金申請の代行を探している方も多いでしょう。
先にお伝えすると、助成金の申請代行ができる人物は『社労士』のみですので、代行者をお探しでしたら、社労士の中から探していってください。今回は、助成金の申請代行を社労士に依頼するメリットや費用相場についてご説明します。
助成金の申請代行が相談できる窓口・専門家はだれ?
助成金の申請代行を依頼するには、まず誰に依頼するかを知る必要があります。
代行を依頼するのであれば、きちんと法令に従って任せられる人物に依頼すべきですね。
助成金申請代行が行えるのは『社労士』のみ
まず、助成金申請の代行が行える人物ですが、冒頭でもお伝えしたように『社労士』のみが代行で行えるようになっています。
『社会保険労務士法第二条』では、社労士の業務が定められていますが、その中に「申請書等の作成」があります(1号業務)。助成金の申請も申請書等の作成となりますので、社会保険労務士が代行できる業務と言えます。
また、『社会保険労務士法第二十七条』では、社労士業務を社労士や社労士法人が行ってなならないと記載されています。つまり、助成金の申請代行は原則的に社労士しか代行できない業務となります。
助成金申請代行に力を入れていない社労士もいるので注意
ただし、社労士の業務は助成金の申請以外にも、社会保険等の手続き、給与計算、コンサルティングなど多岐にわたります。そもそも助成金の申請代行に力を入れていない社労士も多くいます。
代行者を探すのであれば、助成金の申請代行に力を入れている社労士から探していきましょう。力を入れている社労士であれば、料金体系も分かりやすくレスポンスも早いところが多いので、依頼までスムーズでしょう。
補助金の申請代行は社労士以外もできる
一方、助成金と似たものに『補助金』があります。助成金と補助金の違いについては、厳密な決まりはありませんが、一般的には以下のような分け方がされています。
≪助成金と補助金の違い≫
- 助成金…要件を満たしていれば受けられる。主に厚生労働省の管轄
- 補助金…期限や定員があるが、種類は豊富。主に厚生労働省以外が管轄
補助金であれば、『認定支援機関』と認められている専門家が代行することも許されているケースもあるので、社労士委以外に代行をお願いすることもできます。
≪認定支援機関になれる機関・専門家≫
- 商工会議所
- 中小企業支援者
- 弁護士
- 税理士
- 地域金融機関 など
助成金申請の代行を社労士に依頼するメリット
助成金の申請代行と言えば社労士ですが、社労士に依頼するメリットについてまとめみました。後述する費用面と合わせて考えながら、依頼するかどうかを決めてください。
【関連記事】助成金の申請を社労士に依頼するメリット|依頼費用と賢い社労士の選び方まで
申請での手間を省ける
ある程度は想像が付くかと思いますが、申請代行を行ってもらうことで面倒な手続きを社労士に任せることができます。やることと言えば、基本的には必要書類を準備していただく程度となりますので、事業への影響もほぼ無いでしょう。
採択の可能性が高まる
助成金は要件さえ満たしていれば採択されるのですが、それでも経営者自身が行うと書類の不備や要件が満たせないことによる不採択になる可能性も出てきます。
社労士に依頼すれば、採択されるための手続きをしっかり行ってくれますし、そもそも要件を満たせない助成金であれば、他の助成金・補助金などの提案を行ってくれるケースもあります。
知らなかった助成金の提案をもらえる場合がある
助成金だけでも数多くありますし、補助金まで含めると経営者の方が知らない制度も多く存在するでしょう。助成金の申請代行に力を入れている社労士であれば多くの助成金や補助金を知っていますので、第一候補の助成金がダメだった時の代わりの案を提案してくれえる可能性もあります。
助成金を活かした経営アドバイスももらえる
コンサルティングにも強みを持っている社労士であれば、助成金を利用してどのような経営者を行っていくべきかのアドバイスも行ってくれます。そのような社労士であれば、助成金の申請代行以外にも経営の良きパートナーとしても活躍してくれることが期待できます。
助成金申請代行の社労士費用の内訳と相場
助成金の申請代行を依頼するなら基本的に社労士だということはお分かりいただけたと思いますが、実際に気になることは依頼時の費用面ですね。こちらでは、社労士に助成金の申請代行を依頼した場合の費用内訳と相場についてご説明します。
費用について要点を先にお伝えすると、助成金の申請では成功報酬になっていることが多く、獲得できる助成金の10~20%程度の費用になることが多いです。具体的な料金設定やパーセンテージについては、各社労士で違いますので、しっかり確認・比較をしていただければと思います。
【関連記事】
「社会保険労務士の費用相場|顧問契約料・スポット契約・アドバイザリー費用まで詳しく解説」
【着手金】依頼時にかかる費用|0~5万円
着手金とは、依頼時に発生する費用で、仮に助成金が不採択になっても支払う必要があります。相場としては、1つの助成金で数万円を設定しているところが多いのですが、着手金無料の社労士もいます。
できる限りリスクは低く助成金の申請をしたいところですから、候補先に着手金無料の社労士がいれば、優先的に依頼を検討してみて良いでしょう。
【成功報酬】助成金の採択が決まった場合の費用|10~20%
助成金の申請代行費用で大きな割合を占めるものが成功報酬です。助成金が採択された時に支払う費用で、受け取れる助成金の一部の割合が費用になります。
例えば、成功報酬10%の社労士に依頼して100万円の助成金を受け取れたとすると、10万円が社労士への費用となります。
【相談料】助成金の相談にかかる費用|無料が多い
助成金の申請をするにあたって、相談が欲しい方も多いことでしょう。多くの社労士は、助成金申請の相談も受けており、相談だけでもやるべきことがはっきりしてくるケースもあります。
基本的には無料で相談できることが多いので、一人で悩まずに気軽に相談してみてください。
助成金申請の代行を依頼する社労士の選び方
最後に、助成金申請の代行をお願いする社労士の選び方のポイントについてご紹介します。
助成金の申請代行に力を入れている
度々お伝えしていますが、社労士の中でも助成金にはそこまで力を入れていない社労士もいます。助成金申請の経験があまりない社労士に依頼すると、時間がかかったり費用も割高になるケースもあります。
助成金申請をスムーズに済ませるためには、日頃から助成金の申請代行を行っている社労士に絞って探すと良いでしょう。
自社から近い社労士
助成金申請をするにあたって、社労士との打ち合わせや必要書類を渡す機会が出てきます。やはり物理的に近場の社労士に依頼した方が余計な時間や費用をかけずに依頼することができます。
また、助成金の申請代行をきっかけに顧問の社労士として契約するケースも少なくありません。社労士と親密な関係になればなるほど近くで相談しやすい距離だと良いですね。
レスポンスが早い
業者選びではどれも共通していますが、レスポンスの速さは大事ですね。助成金の申請では期限はありませんので、特段急ぐ必要性は低いのですが、助成金の申請にいつまでも時間を割いているようでは、事情にも影響を及ぼしかねません。
実際に社労士に問い合わせをしてみて、返答に時間がかかるようでしたら、すぐに他の社労士に切り替えても良いでしょう。
対応が丁寧で事業に理解を示してくれる
こちらもサービスを受けるにあたって共通していますが、丁寧な対応は言わずもがなです。さらに言えば、事業のことを理解してくれ、助成金を有効活用するようなプラスアルファの提案ができる社労士であれば、心強いですね。
まとめ
助成金の申請代行は基本的に社労士しかできません。依頼時は獲得する助成金の10~20%が費用になることが多いです。
助成金の申請は社労士にお願いして丸投げした方がメリットも多いです。費用面としっかり考えながら依頼すべきかどうかを決めていきましょう。