社労士に限らずいろんな職種の方が助成金、特に補助金の申請代行をしています。
どの職種に代行を依頼するのがいいのか判断がつかない方も少なくないでしょう。
結論からお伝えすると、助成金は社労士に、補助金は受給を目指す補助金に詳しい相手に代行を依頼するのが無難です。
この記事では、主に以下の点をご説明します。
- 助成金・補助金の申請代行を依頼できる先
- 助成金・補助金の申請代行の違法性について
- 助成金・補助金の申請代行の費用相場
申請作業の代行はできませんが、申請に必要な作業を部分的に任せることはできます。
この記事での補助金申請代行とは、申請に必要な作業を任せることを指すものとします。
トラブルに巻き込まれずに助成金・補助金を得るための注意点もご説明しますので、ぜひ最後までご参考ください。
助成金・補助金申請代行の依頼先7つ
代行を依頼する先を選ぶコツをご紹介します。
助成金を受給したい場合、助成金の申請代行ができるのは社労士だけなので、社労士の中から代行を選ぶことになります。
補助金を受給したい場合は、職種によらず補助金に詳しい相手を選ぶことになります。補助金の申請代行は特定の資格がなくてもできるので、知識と実績が重要になってきます。
以下、助成金や補助金の申請代行を依頼できる先をご紹介します。
【助成金・補助金】社労士|助成金の受給を目指すのであれば社労士一択
助成金の申請代行を依頼するのであれば、大前提として社労士の中から選ぶことになります。
社労士であれば助成金の支給要件を把握した上で期限内に資料を用意できます。助成金を得るためにやるべきことがわかる上に、申請書類の作成は全て任せられるので、ご依頼者様は本業に集中できます。
当サイトでは、助成金の申請に詳しい社労士をご紹介しています。助成金の申請代行をお探しの方はぜひご利用ください。
【補助金のみ】弁護士|社労士資格があれば助成金の申請も可能
社労士資格を持っていたり、社労士資格を持っていたりする場合は弁護士でも助成金の申請を代理できます。
基本的に助成金の申請だけが目的であれば社労士の中から選べば十分です。社員が増えたり、事業が拡大したりして、労務や契約にまつわるトラブルが今後発生しそうな場合は助成金と合わせて企業法務の相談をするのもあり得るかもしれません。
【補助金のみ】税理士|認定経営革新等支援機関に認定されているか確認を
税理士は税務や財務に詳しいので、補助金に限らず融資を含めて資金調達を検討している方にとっては相談先としてあり得るかもしれません。補助金を得た後の会計業務も任せる予定がある方に向いています。
補助金に詳しいかどうかは税理士によります。補助金を受給する際は審査があるので、事業計画を用意しなければなりません。
認定経営革新等支援機関に認定されている税理士であれば事業計画の策定に詳しいので、補助金を得るために必要な助言を受けられます。
【補助金のみ】行政書士|補助金の申請書類の作成だけを任せたいのであればおすすめ
行政書士は公的機関に提出する書類の作成を代行する職業です。補助金の申請書類の作成代行もできます。
ただし、補助金を受給するには書類の提出に加えて事業計画の策定が必要です。補助金の支給要件を満たすような事業計画を自力で用意できて、資料作成だけは任せたい方は行政書士への依頼もあり得るかもしれません。
【補助金のみ】中小企業診断士・コンサルティング会社
事業計画の立案や精査を依頼したい場合は中小企業診断士・コンサルティング会社を選ぶのもいいかもしれません。
中小企業診断士であれば、中小企業向けの制度に詳しい点もメリットです。
【補助金のみ】公認会計士|補助金申請に加えて財務のサポートも期待できる
補助金の獲得に力を入れている公認会計士もいます。具体的には、事業再構築補助金やものづくり補助金を積極的に扱う会計士が多い印象です。
事業再構築補助金とは、事業転換や拡大などを目指す企業を応援するための補助金です。コロナやインフレで経営のやり方を変えざるを得ない企業も少なくないでしょう。
公認会計士に申請代行を依頼すると、補助金を獲得した上でどうやって事業をV字回復させていくのか、財務に関する助言を受けられます。
【補助金のみ】銀行
補助金の獲得をサポートしている銀行もあります。普段から事業計画を見慣れているので、知見を持っている安心感があります。ただ、本当に銀行によるのですが手数料が高いかもしれないので、銀行に限った問題ではないですがよく確認するようにしてください。
【注意】助成金・補助金の申請代行業者は違法?
依頼先がルールを守って運用されているか確認するために、助成金や補助金の申請代行は違法なのかどうか確認しておきましょう。
助成金の申請代行には社労士の資格が必要
助成金の申請代行は社労士の独占業務なので、社労士以外が代行することはできません。
社労士以外の人に申請代行を依頼するとトラブルに巻き込まれることも考えられるので絶対にやめましょう。
わかりやすい例が助成金の不正受給です。代行者が不正な手段で助成金を受給した場合でも、事業者が不正受給をしたことになります。
助成金を不正受給すると…
- 詐欺罪で逮捕される恐れがある
- 助成金を全額返さなければならない
- 事業者名が公開される
- 助成金を5年間受給できなくなる
補助金の申請であれば社労士の資格は必要でない
補助金の申請代行は違法ではありません。
補助金は助成金と財源が異なります。補助金の申請は社労士の独占業務ではありません。
補助金の申請作業は事業者本人がやらなければならない
ただし、導入文でお伝えした通り、第三者に補助金を申請する際に必要なID/PASSを教えると規約違反になることもあり得るので、申請作業自体は事業者自身がやらなければいけない場合もあります。
受給しようとしている補助金の規約がどうなっているのか確認するようにしましょう。
助成金申請代行を社労士に依頼する5つのメリット
社労士に依頼をすると助成金を受給できる可能性が高くなりますし、申請に必要な作業を任せられるので手間がかかりません。成功報酬の社労士に依頼をすれば、ほぼリスクなく助成金の獲得を目指せます。
社労士に助成金申請代行を依頼するメリットについて、以下5つをご説明します。
- 助成金を受給できた場合のみ費用を支払えばいいので金銭的リスクが少ない
- 知らなかった助成金・補助金の提案をもらえる場合がある
- 助成金をもらうためのTODOが明確になる
- スケジュール遅れで助成金がもらえなくなるリスクを減らせる
- 申請の手間を省ける
助成金を受給できた場合のみ費用を支払えばいいので金銭的リスクが少ない
助成金の申請代行については成功報酬にしている社労士が多いので、費用倒れになりにくいです。助成金の受給資格を満たしていそうであれば、申請代行を依頼しても損はしにくいでしょう。
社労士によって料金体系が異なるので、ご依頼前に必ずご確認ください。
知らなかった助成金・補助金の提案をもらえる場合がある
助成金や補助金は数が多いので、受給できそうなものがあっても気づいていない事業者の方は少なくありません。
社労士に相談をすることで、上記のような機会損失を防げるかもしれません。
ここで、ご自身の状況にあった助成金を社労士に教えてもらうための質問のコツをご紹介します。
よくないのは、「私が受給できそうな助成金は何かありませんか?」と漠然と聞いてしまうことです。漠然と質問するのがよくない理由は、事業者の状況がわからないと、助成金の受給資格を満たしているのか判断がつかないからです。
社労士に相談をする前に、最低限以下の下調べをするだけでも今後の役に立つ助言を受けやすくなります。
- 助成金の種類をざっくりとでいいので把握する
- 今後取り組めそうな助成金の候補をいくつか選ぶ
- 受給の条件をざっくり確認する
主な助成金については以下の記事でご紹介しています。
中小企業に対する助成金は雇用に関するものが多くなっていますが、この記事ではこれに加えてコロナウイルス関連の助成金についてもご紹介します。助成金申請を検討する上での参考にしていただければ幸いです。 中小企業・助成[…]
助成金をもらうためのTODOが明確になる
助成金の受給資格を満たすために、やらなければいけないことが発生するかもしれません。
社労士に依頼をしていれば、いつまでに何をしなければならないのかが具体的になります。
自力で今後のTODOを調べるのは、良く分からない上に解釈の違いがあったとしても気づけないのでストレスになるかもしれません。
スケジュール遅れで助成金がもらえなくなるリスクを減らせる
期日を遅れると助成金を受給できなくなることがあります。社労士に依頼をすればスケジュール遅れで助成金をもらえなくなる心配を減らせます。
申請の手間を省ける
申請に必要な書類の作成を任せられます。
社労士であれば受給要件を把握した上で書類を作成できます。書類の不備で再提出になる心配もありません。
助成金申請代行の社労士費用の内訳と相場
助成金の申請代行を依頼するなら基本的に社労士だということはお分かりいただけたと思いますが、実際に気になることは依頼時の費用面ですね。こちらでは、社労士に助成金の申請代行を依頼した場合の費用内訳と相場についてご説明します。
費用について要点を先にお伝えすると、助成金の申請では成功報酬になっていることが多く、獲得できる助成金の10~20%程度の費用になることが多いです。具体的な料金設定やパーセンテージについては、各社労士で違いますので、しっかり確認・比較をしていただければと思います。
社労士の顧問料相場は月額2万円~17万円程度です。金額に開きがある理由は、対応する業務の幅や量が異なるからです。相談だけの顧問契約であればもっと安く済みますし、人事労務のコンサルを含む場合はもっと高くなることもあります。[…]
【着手金】依頼時にかかる費用|0~5万円
着手金とは、依頼時に発生する費用で、仮に助成金が不採択になっても支払う必要があります。相場としては、1つの助成金で数万円を設定しているところが多いのですが、着手金無料の社労士もいます。
できる限りリスクは低く助成金の申請をしたいところですから、候補先に着手金無料の社労士がいれば、優先的に依頼を検討してみて良いでしょう。
【成功報酬】助成金の採択が決まった場合の費用|10~20%
助成金の申請代行費用で大きな割合を占めるものが成功報酬です。助成金が採択された時に支払う費用で、受け取れる助成金の一部の割合が費用になります。
例えば、成功報酬10%の社労士に依頼して100万円の助成金を受け取れたとすると、10万円が社労士への費用となります。
【相談料】助成金の相談にかかる費用|無料が多い
助成金の申請をするにあたって、相談が欲しい方も多いことでしょう。多くの社労士は、助成金申請の相談も受けており、相談だけでもやるべきことがはっきりしてくるケースもあります。
基本的には無料で相談できることが多いので、一人で悩まずに気軽に相談してみてください。
補助金申請代行の費用相場
補助金の申請をサポートしている業種は複数あるので、相談先によって料金に差がある可能性が高いです。特に着手金が高く設定されていた場合、補助金を得られなければ費用倒れになるので必ず相見積もりをしてから依頼先を決めましょう。
【着手金】0~30万円
依頼先によって様々ですが、例えば銀行に依頼をした場合は書類作成費用として30万円程度請求されることもあり得ます。
補助金は金額が大きく、1000万円〜1億円以上得られる場合もあります。具体的にどの補助金の獲得を目指すのか明確にいた上で、それぞれの依頼先候補に着手金はどの程度かかるのか確認したいところです。
【成功報酬】補助金支給額の5%~25%程度
補助金の種類によって料金が変わってきます。
着手金がある場合は5%~10%程度が、着手金がない場合は15%~25%程度が成功報酬の相場です。
【相談料】無料
相談料は初回のみ無料、もしくは何度でも無料にしていることが多いです。
助成金申請の代行を依頼する社労士の選び方
最後に、助成金申請の代行をお願いする社労士の選び方のポイントについてご紹介します。
助成金の申請代行に力を入れている
度々お伝えしていますが、社労士の中でも助成金にはそこまで力を入れていない社労士もいます。助成金申請の経験があまりない社労士に依頼すると、時間がかかったり費用も割高になるケースもあります。
助成金申請をスムーズに済ませるためには、日頃から助成金の申請代行を行っている社労士に絞って探すと良いでしょう。
自社から近い社労士
助成金申請をするにあたって、社労士との打ち合わせや必要書類を渡す機会が出てきます。やはり物理的に近場の社労士に依頼した方が余計な時間や費用をかけずに依頼することができます。
また、助成金の申請代行をきっかけに顧問の社労士として契約するケースも少なくありません。社労士と親密な関係になればなるほど近くで相談しやすい距離だと良いですね。
レスポンスが早い
業者選びではどれも共通していますが、レスポンスの速さは大事ですね。助成金の申請では期限はありませんので、特段急ぐ必要性は低いのですが、助成金の申請にいつまでも時間を割いているようでは、事情にも影響を及ぼしかねません。
実際に社労士に問い合わせをしてみて、返答に時間がかかるようでしたら、すぐに他の社労士に切り替えても良いでしょう。
対応が丁寧で事業に理解を示してくれる
こちらもサービスを受けるにあたって共通していますが、丁寧な対応は言わずもがなです。さらに言えば、事業のことを理解してくれ、助成金を有効活用するようなプラスアルファの提案ができる社労士であれば、心強いですね。
まとめ
助成金の申請代行は基本的に社労士しかできません。依頼時は獲得する助成金の10~20%が費用になることが多いです。
助成金の申請は社労士にお願いして丸投げした方がメリットも多いです。費用面としっかり考えながら依頼すべきかどうかを決めていきましょう。