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テレワークにおける労務管理|6つの課題と改善ポイント・正しい導入法とは

新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにテレワークを導入・検討している企業も多くあります。一方で、今までとは働き方も変わってきますので、従業員の労務管理も新しい課題が出てきていることでしょう。

今回は、テレワークの労務管理で考えられる課題と課題に対する解決策をご紹介します。これからテレワークの導入を考えている企業も、すでに開始したばかりの企業も、しっかり労務管理をして、後のトラブルがない働き方を提供していく必要があります。

 

テレワークの労務管理で課題となる6つのポイント

早速、テレワークの労務管理の課題として挙げられるポイントをご紹介していきます。今回は大きく分けて6種類のポイントについてご説明しますが、実際にはテレワークを導入する企業や従業員数、業務内容などによっても変わってくるでしょう。

詳しくは社労士などの労働関係法・労務に実際に相談されることをおすすめします。

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労働時間・勤怠管理問題

テレワークの労務管理の課題としてまず挙げられるものは、労働時間の管理です。テレワークでは遠隔でも業務を行いますので、作業の実態が見えにくくなってしまいます。始業・終業時間の把握から、残業管理、業務中の管理などの対策を取っておく必要がありますね。

もし勤怠管理の準備を整えずにテレワークを開始したのであれば、作業効率の悪化や無駄な残業の発生なども起こってしまいます。その為、テレワーク中の勤怠管理としては、下記の項目を把握しておく必要があるでしょう。

  1. 始業・終業時刻の管理
  2. 在籍・離席確認

労働時間とみなし労働時間制の問題

上記の内容とも関係していますが、テレワークでも働かせすぎ問題が発生してしまうケースがあります。テレワークだからといて、莫大な業務を与えて長時間労働をさせてはなりません。

法定労働時間を超えて働いた分には残業代を支払う必要がありますし、月の残業時間が45時間、60時間と越えていけば労働基準法違反の可能性も出てきます。

また、テレワークでも事業場外みなし労働時間制を取り入れることができますが、労働時間が把握できていないゆえに、正しく運用が行われていなかったり、残業代未払い問題が起こり得ることが考えられます。

あらかじめその時間分を働いたとみなして、その労働時間分の給与や残業代などを支払う労働契約のこと(みなし残業とも呼ばれる)。労働者は短時間で仕事を終えても賃金が保証されるメリットが、会社側には勤怠管理と給与計算が簡略化できるメリットがあるが、みなし労働時間よりも実労働時間が多い場合には追加で残業代を支払う必要がある。

システム構築と費用負担の問題

テレワークを開始するにあたって、新たに設備や機器を整える必要も出てきますし、従業員と会社の費用負担の線引きを明確にしておく必要があります。

準備に関しては勤怠管理ツールもそうですが、そもそも従業員に在宅で仕事をしてもらうためのパソコンやインターネット環境の提供も必要になります。あらかじめ従業員1人1人にパソコンが支給されている会社であれば、負担も軽減できますが、1から用意するとなると負担も大きくなります。

また、従業員の方は自宅で作業することで、水道光熱費や通信費、用紙などの消耗品費が余計に必要になってくることが考えられます。特に水道光熱費に関しては、従業員のプライベートでの利用分も混ざってきますので、どこまで会社が費用負担するのかを決めておく必要がありますね。

セキュリティ管理の問題

テレワークを円滑に進めるシステム構築以外にも、セキュリティ対策も非常に重要になります。テレワークによって、業務を行う場所は拡散され、繋がるネットワークも広がってしまいます。

あらかじめセキュリティ対策を講じておかないと、情報流出のリスクも高くなってしまいます。重要な顧客情報などを流出させてしまうと社会的信用も大きく失い、従業員との労務トラブルよりも会社に与える悪影響が大きくなると考えられます。

そのような事態を招かないためにも、あらかじめセキュリティ対策を取っておくとともにテレワークを行う従業員にもきちんと理解してもらう必要があります。

評価基準と対象者の問題

同じ会社内でも、どうしてもテレワークがしにくい業務は出てきてしまいます。そうなった時にテレワークできない従業員からの不平不満が出てくる可能性が考えられます。

また、在宅勤務で仕事の状況が把握しづらくなることから、評価方法も今までと変わることもあります。

何も準備をせずに基準があやふやなままテレワークをスタートしてしまうと、せっかくの従業員にとって魅力的な働き方だったのに、従業員からの反感を買ってしまう事態にもなりかねません。

労災の問題

たとえテレワークであっても、業務に関係して傷病となったのであれば労災保険が適用されます。テレワークだからと言って、労災の申請に一切応じないと労災隠しとして違法行為にもなり得ます。

一方で、テレワークでは労働の状況が把握しにくいので本当に労災として扱える傷病なのかも慎重に判断する必要があります。在宅勤務でも、上記で触れた長時間労働が原因によるうつ病などの疾病は労災になる可能性が高いです。

自宅での作業となれば基本的には危険な作業は伴わないでしょうが、それでも体調や労働時間の管理には気を遣っておくべきでしょう。

テレワークの労務管理を正しく行う方法

さて、ここからは実際に上記の課題・問題点に対処すべく方法についてご説明します。社労士などの専門家のアドバイスを受けつつ、問題に対処した運用・管理を行っていきましょう。

勤怠管理ツールの利用

勤怠管理の肝となる出退勤の管理については、テレワークでもメール等の報告で可能です。ただ、後の集計・給与計算などの業務を考えると、勤怠管理ツールを使ってまとめて管理する方が便利です。

従業員もある程度在籍しており、まだ勤怠管理ツールを使っていなかった企業では、テレワークの導入を機に勤怠管理ツールも一緒に導入してみることも検討されてください。

もし給与計算システムだけ先に導入しているのであれば、給与計算システムと互換性がある勤怠管理ツールを利用するようにしましょう。

就業規定の見直しと事業場外みなし労働時間制の実施

労働時間の制限が付けにくいテレワークでは、あらかじめ残業を申請・許可制にしておき基本的には残業はできない規則にしておくことも1つの方法です。そうすることで、無駄な残業の発生を防げますし、長時間労働問題にも対処できます。

また、上記で触れた『事業場外みなし労働時間制』を取り入れる方法も1つの策です。労働者からしてみれば、業務が早く終わっても賃金は変わらないため、効率的に働いてもらえることが期待できます。

ただし、基本的には労働者側にメリットが多い制度ですので、実働時間とみなし労働に相違があり過ぎた場合、会社側が多く賃金を払いすぎることになり損になります。反対に実労働時間がみなし労働時間より多くなった場合には残業代が発生しますし、残業代を支払わなければ労働基準法違反になってしまいます。

テレワークでのセキュリティ対策

テレワークにおいてセキュリティ対策はとても重要になりますので、就業規則に基本的なルールを明記するだけではなく、別途ガイドラインを作り、対象者に対して研修などを行ってきちんと周知させることをおすすめします。

また、会社で契約したネット回線にしか接続させなかったり、アクセスできる情報を今一度整理し直すことも比較的簡単にできるセキュリティ対策の方法です。

テレワークでの決まりは就業規則に記載する

最後に、これらテレワーク用に作った決まりは別で就業規則を作成し、テレワークを行う従業員にしっかり理解してもらいましょう。たとえ一時的なテレワークであっても、口頭やメールだけで伝えた決まりだけでは、万が一トラブルが発生した時にも対処しにくくなります。

特に今回の新型コロナウイルスの影響などのパンデミックや震災などで緊急でテレワークを導入する場合には、スピード感が大事になります。自社だけで就業規則まできちんと作ろうとすると、どうしても時間がかかって不正確な内容になってしまいますので、社労士に任せて作ってもらった方が手っ取り早いです。

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まとめ

テレワークは一般的な働き方とは少し勝手が違うので、労務管理でも課題がいくつか出てきます。もしきちんと準備を行わずにテレワークを取り入れたのであれば、労働トラブルや情報漏えいなどの問題が発生する危険性があります。

しかし、しっかり準備して従業員の方もやるべきことを理解して働いてもらえれば、労働者と使用者どちらにもメリットがある魅力的な働き方です。

昨今の新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにテレワークを取り入れ始めた企業も多いでしょうが、上手く導入できれば、新型コロナウイルスが終息した後もぜひ一部でテレワークによる新しい働き方を継続されてみてください。