【従業員の退職で社労士に相談できること・できないこと】
- ◎ トラブルを未然に防ぐためのルール決めを相談できる
- ◎ 上記の内容を適切に就業規則に追記できる
- ◎ 従業員退職時の社会保険喪失手続きを代理できる
- △ 問題社員への対応を相談できる
- × 解雇を巡って従業員との交渉を代理することはできない
- × 従業員側から相談しても対応が難しい
社労士は、トラブルの予防と労働・社会保険の手続き代理が得意です。
人が増えてきてルールを見直さなければいけない方や、従業員の退職手続きを依頼したい方に向いています。
一方、相談者を代理して交渉することはできません。
従業員との交渉代理を依頼したい方や、企業側に残業代などを請求したい労働者の方には弁護士へのご相談をおすすめします。
この記事では、従業員の退職を巡って社労士に相談・依頼できることを具体的にご説明します。
従業員退職関係で社労士に相談できること①トラブルにならない仕組みの構築
社労士が就業規則を作成・追記することで、従業員が退職する際のトラブルを防ぎやすくなります。
具体的な対応は次のとおりです。
- 従業員が競合に転職するのを防ぐための対応
- 退職時のルールの見直し・就業規則の修正
- 懲戒に関するルールを就業規則に追記
- 未払い給与・残業代の発生と請求の予防
従業員が競合に転職するのを防ぐための対応
従業員が競合に転職するのを防ぐための方法には以下の2つがあります。
競業避止義務の追記
就業規則に競業避止義務を追記することで、退職後一定の間、従業員が競合に転職するリスクを小さくできます。競業避止義務違反で企業側の請求が認められた裁判例もあるので、一定の抑止力になりえます。
秘密保持誓約書の作成
企業の重要な情報を知っている従業員には、秘密保持誓約書へのサインをお願いしましょう。強制はできないのであくまでお願いすることになります。
秘密保持誓約書に法的拘束力を持たせるためには、秘密情報の定義を具体的に記入する必要があります。
退職時のルールの見直し・就業規則の修正
退職のルールについては、就業規則に絶対に記入しなければいけません(絶対的記載事項)
退職について書くべきことは例えば…
- 解雇のルール
- 退職時の手続き
- 定年
- 契約期間の満了
特に解雇については、トラブルになりやすいので、解雇事由を具体的に記入するべきです。
懲戒に関するルールを就業規則に追記
就業規則に懲戒に関するルールが記載されていないと、問題行動をした従業員への懲戒が無効になることがあります。
懲戒でどのような処分ができるかについては法律で決められていないので、企業が適切な内容を決めて就業規則に記載しなければなりません。
問題社員を生み出さないようなルールの追加
社労士であれば、企業にぴったりの内容の服務規程(従業員が守らなければいけない最低限のルール)を作成できます。
日本では従業員を解雇しにくいので、問題社員がいた場合は根気よく指導・注意をせざるを得ません。この時に助けになるのが服務規程です。
問題社員に注意をする際に、「服務規程にこう書いてあるから」と説明することで、単に注意するよりも公平感を出せます。明確な決まりがあった方が、指導する側も多少ではありますが気が軽くなるかもしれません。
未払い賃金・残業代の発生と請求の予防
社労士が就業規則を見直すことで、賃金に関するトラブルを未然に防ぐ内容にできます。
賃金に関する記載は就業規則に必ず記載しなければなりません。
賃金に関して記載しなければいけない内容は例えば…
- 賃金体系
- 決定方法
- 賃金の決定要素
- 計算方法
計算方法が適切でなければ、未払い賃金・残業代を請求される原因になります。
他にも同一労働同一賃金という決まりがあるので、異なる雇用形態の人たちが同じ仕事をしている場合は注意が必要です。
従業員退職で社労士に相談できること②労働条件に関する相談
社労士は企業の決まりを適切な文面で就業規則に記載できるので、予想外のトラブルを未然に防げます。
とはいえ、そもそも労働や退職に関するルールをどのように定めるべきか、判断がつきにくいのが普通です。
労働や退職について、どのようなルールを採用するか社労士に相談することもできます。
業界に詳しい社労士であれば、他の企業はどんな制度にしていることが多いのかもわかるので心強いかと思います。
労働・退職にまつわるルールを相談
労働条件や退職時の決まりをどうするのか相談できます。
よくある相談は例えば…
- 解雇のルールをどうするか
- 残業代を固定にするかどうか
- 給与の計算方法をどうするか
- 昇給のルールをどうするか
- 懲戒についてどのように就業規則に書くか
- 退職時のルールをどうするか
退職金制度に関する相談
退職金を導入したいがどうすればいいかわからない場合や、退職金の負担が大きすぎてなんとかしたい場合も社労士に相談できます。
退職金制度を一度設けると、決まりどおりに支払わなければなりません。退職金を減らすように就業規則を変更する場合、従業員にとっては不利な変更になるので同意が必要になることもあります。
制度を新設するにしても変更するにしても、気軽に変更しにくい部分です。社労士に相談して長く会社に貢献してくれた人が報われるようなルールを考えたいところです。
問題社員への対応を相談
解雇したい社員がいる場合に、どうやって対応したらいいのか相談できる場合があります(社労士による)。相談はできますが、労働者との交渉を代理するのは不可能です。
従業員退職で社労士に相談できること③退職手続きの代理
従業員が退職すると、雇用保険・社会保険の喪失手続きが必要です。
各種保険の喪失手続きの代理を社労士に依頼できます。
雇用保険の喪失手続き代理
企業は従業員が離職した日の翌日から10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届を作成し、ハローワークに提出しなければいけません。従業員が希望する場合は、雇用保険被保険者離職証明書の作成も必要です。
社会保険の喪失手続き代理
企業は従業員が離職した日の翌日から5日以内に被保険者資格喪失届を作成し、管轄の年金事務所、健康保険組合、厚生年金基金に提出しなければなりません。
上記保険の喪失手続きについて、書類の作成から提出までを社労士に任せられます。
(要確認)離職票など、退職時に必要な書類も併せて任せられるケースも
社労士によりますが、離職票の作成も任せられる場合があります。従業員が退職時の書類作成を一式任せられるかどうか打診してみるのもいいかもしれません。
従業員の退職関係の業務を社労士に依頼した際の費用相場
この記事でお伝えした業務を社労士に依頼した際の費用相場をお伝えします。
就業規則の追記|3万円~20万円
就業規則への追記だけであれば、3万円から20万円程度で依頼できます。
金額に開きがある理由は、社労士の作業量が変動するからです。就業規則を追記するためにヒアリングに時間をかけるような場合や、追記の内容が多いような場合は時間がかかるので高めの金額を提示されます。
サポート内容と金額をセットで考えつつ、複数の社労士の中から良さそうな依頼先を見つけてください。
労働・退職に関する相談|月1万円~5万円
相談だけであれば月額1万円~5万円程度が相場です。
初回相談は無料であることが多いですが、制度を検討するための相談には時間がかかります。スポットで依頼する場合、かかった時間に応じて相談料が発生します。
スポットの相談に対応しているかどうかは社労士次第です。料金相場は1時間あたり5,000円から1万円程度です。
労働保険・社会保険の喪失手続き|1つ1万円~3万円
労働保険・社会保険の喪失手続きは1つ1万円~3万円程度で依頼できます。
以下のような場合は安めに依頼できます。
- 定期的に依頼をしている
- セットで依頼している
- 一定数以上依頼している
- 顧問契約を結んでいる
【1年間無料】相談と労働・社会保険手続きを頼み放題
従業員が退職する際は、トラブルが起きたり、保険の手続きをしなければいけなかったりと、たびたび手間や面倒がつきまといます。
社労士法人TSC(CACグループ)は、以下の業務を1年無料でサポートしています。
- 顧問契約
- 労務相談
- 勤怠管理システム
- 給与計算事務
- 労働保険事務
- 社会保険事務
- 助成金アドバイス
- WEB明細システム
退職する従業員への対応や就業規則の内容をどうするかなど、退職にまつわるお悩みを1年間無料で相談し放題です。
目の前のトラブルに適切に対応できるだけでなく、今後同じような問題が起きないような体制を構築できます。
CACグループは1965年創業で55000件以上の顧客契約数があります。60年以上企業をサポートしてきた実績と経験があるので、安心して仕事を依頼できます。
詳細が気になった方は、以下をご確認ください。
まとめ
以上、従業員の退職を巡って社労士に相談できること、できないことをご説明しました。
社労士は就業規則の修正による退職トラブルの予防と、社会保険の資格喪失のような退職時の事務作業の代理が得意です。
退職時のトラブルについて、対応方法を相談することもできますが、代理はできません。交渉を依頼したい場合は弁護士に相談することになります。
当サイトより、従業員の退職に関して社労士に相談できます。困っていることがある方はお気軽にご相談ください。