給与計算ミスをすると、遅延損害金が発生したり、悪質な場合は労働基準監督署の調査を受けたりするリスクがあります。
ミスをした場合は、すぐに給与を再計算し、従業員に謝罪と対応をしましょう。
この記事では、給与計算ミスをした際の具体的なリスク・対応方法・防止方法をご紹介します。
「もう給与計算ミスはしたくない!」という方はぜひ最後までご参考ください。
給与計算ミスをした際のリスクと責任
給与計算ミスをすると、主に以下のリスクがあります。
- 給与計算ミスをすると遅延損害金が発生する
- 付加金が発生することもある
- 保険料・税金の再計算が必要になる
- 労働基準監督署から調査・是正勧告を受けることも
- 給与計算ミスの消滅時効期間は5年
具体的に見ていきましょう。
給与計算ミスをすると遅延損害金が発生する
給与の支払いが1日でも遅れると、遅延損害金が発生します。利率は未払いの賃金に対して年6%です。
付加金が発生することもある
付加金は必ず発生するわけではありません。付加金は賃金未払いの裁判で、悪質だと判断された場合に支払いが命じられることがあります。
比較的軽微な給与計算ミスであれば裁判にはならないので、付加金の心配はしなくて良さそうです。
保険料・税金の再計算が必要になる
給与計算のミスが発生すると、社会保険料や所得税などの再計算が必要になります。これは、これらの費用が給与額に基づいて計算されるためです。したがって、給与計算が正しくなかった場合、これらの費用も誤っている可能性があります。
労働基準監督署から調査・是正勧告を受けることも
給与計算ミスがあまりに多かったり、悪質だったりする場合は従業員が労働基準監督署に相談をすることをきっかけに、労働基準監督署からの調査や是正勧告を受ける可能性があります。
もっとも、従業員が労働基準監督署に相談しに行くのはよほど悪質性が高いようなケースです。
30万円以下の罰金刑に処せられることも
給与が足りなかった場合は労働基準法違反にあたります。法定刑は30万円以下の罰金または6か月以下の懲役です。
給与計算ミスの消滅時効期間は5年
給与計算ミスの消滅時効は、最後に給与が支払われた日から5年間です。給与計算ミスが発覚した場合、これを訂正し、過去5年間分の給与を補てんする必要があります。
給与計算ミスをしたときの対応
給与を過払いしたときの対応、金額が不足していたときの対応をそれぞれご説明します。
給与計算ミスの原因を調べる
まずは給与計算ミスの原因を調べましょう。給与計算ミスをしたあとは以下の対応が必要ですが、以下の対応をするためには給与計算ミスをした原因を知っていて、人に説明できる状態にしておく必要があります。
- 謝罪文を書くとき
- 始末書を書くとき
- 再発防止策を考えるとき
給与を過払いしていたとき
給与を過払いしていたときは基本的に月内~翌月支給日までに払い戻しをしてもらいましょう。過払い分の金額を記載した領収書を渡します。
翌月の給与から差し引くのは基本的に不可能です。
ただし、以下の場合は翌月の給与を調整して対応することができます。
- 従業員の同意がある場合
- 就業規則・労使協定に給与を過払いした場合に翌月分の給与から差し引く旨が記載されている場合
給与が不足していたとき
給与が不足していた場合は当月中に対応しましょう。
賃金支払の五原則により、以下の5点に従って賃金を支払う必要があるためです。
- 通貨で
- 直接労働者に
- 全額を
- 毎月1回以上
- 一定の期日を定めて
参考:労働基準法第24条
給与に加えて税金と保険料も再計算して対応する必要があります。
給与計算ミスの謝罪文・始末書の書き方・例文
給与計算ミスをした際は、ミスをした相手に謝罪文を書く必要があります。必要に応じて始末書を書く必要があることもあります。
どちらを書く際も、以下3点を書きましょう。
- 謝罪の言葉
- ミスの詳細
- 具体的な対応や対策の内容
以下、謝罪文と始末書の例文をご紹介します。
給与計算ミス謝罪文例
件名:【重要】給与計算ミスについてのお詫びと訂正 |
お疲れ様です。〇〇です。 この度、先月分の給与計算において誤りが発生し、残業手当の計算ミスにより、皆様への給与が不足していたことが判明いたしました。 ご不便とご心配をおかけしたこと、深くお詫び申し上げます。 こちらのミスは、給与計算における人為的な誤りによるものであり、既に原因を特定し、再発防止策を施しております。今後はより一層慎重に業務に取り組む所存です。 不足分の給与につきましては、即時に補填いたします。具体的な手続きの詳細は、明日中には皆様に通知させて頂きます。 この度は、ご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。 |
給与計算ミス始末書例文
件名:給与計算ミスについての始末書 |
このたびは私の給与計算ミスにより、社内外に大変なご迷惑をおかけしたこと、深くお詫び申し上げます。 具体的には、[発生したミスの詳細。例:2023年7月分の給与計算において、時間外労働時間を過少に計算してしまった結果、該当する全従業員の給与が実際の労働時間に対して不足してしまいました]。 このミスは、私の確認不足と不注意が原因であります。私の不適切な行動により、給与の不足という深刻な結果を招いたことを深く反省しております。 既に、[ミスを解決するために行った対策。例:誤った給与を即時に訂正し、適正な給与を全従業員に支給する手配を行いました。また、今後同様のミスが再発しないよう、給与計算の際のチェック体制を強化するなどの対策を講じました]。 私のこの度の不注意が、社内の業務に影響を与え、また皆様に不信感を持たれることに繋がったことを重く受け止めております。皆様の信頼を一日も早く回復できるよう、精進して参ります。 今後はこのようなミスが起こらないよう、更なる注意と慎重さを持って業務に取り組みます。この度は大変申し訳ございませんでした。 |
給与計算ミスの原因3つ
給与計算ミスの原因を把握し、それを改善することで、給与計算の誤りを未然に防ぐことが可能です。以下に、給与計算ミスの主な原因を挙げます。
給与の変化への対応ができていない
労働者の給与は、様々な要素により変動します。昇給、賞与、時間外労働、休日労働、欠勤など、これら全てが給与計算に影響を及ぼします。これらの変化を適時に反映せず、古いデータで給与を計算してしまうとミスが生じます。
エクセルや手動で計算している
給与計算は複雑なので、手動の計算ではミスが生じる可能性が高いです。また、計算方法が複雑であればあるほど、ミスをした後の対応が大変になります。
給与計算システムを導入することで、ミスを大幅に減らすことが可能です。
給与計算システムをまだ導入されていない方は以下の記事もあわせてご参考ください。
給与計算をチェックする仕組みがない
給与計算にミスがないかを確認する仕組みがない場合、ミスに気づかないまま給与を払ってしまう可能性があります。定期的に給与計算の確認を行い、問題がないかを見直す体制を整えることで、給与計算のミスを防ぐことができます。
社内に給与計算に詳しい人がいればダブルチェックを頼むのもいいでしょう。いない場合は、社労士に最終確認をお願いすることもできます。
給与計算ミスを防止する方法【社労士に外注すると安心です】
給与計算を社労士に依頼すると、ミスをしないのはもちろんのこと、人を採用するよりも安い価格で外注できます。
以下、給与計算を社労士に依頼した方がいい理由や具体的な費用についてご紹介します。
給与計算を社労士に外注するべき3つの理由
給与計算を社労士に依頼するメリットは次の3点です。
給与計算ミスの心配から解放される
社労士であれば基本的に給与計算ミスをしません。人が増えたり昇給したりするたびに給与計算をしなければいけない煩わしさや、「もしかしたら計算ミスしているかも」といった不安から解放されます。
給与計算に時間と費用をかけても売上と利益は伸びない
給与計算は失敗が許されず、責任が重い業務はです。
しかし、ミスをしないように勉強をしたり、人を雇ったりと、時間やお金をつぎ込んだとしても売上と利益が増えないのが辛いところです。
であれば、費用によっては、社内で対応するよりも社労士に外注をしてしまった方が費用対効果がいいと思いませんか?
給与計算担当者を雇用するよりも安い
給与計算に詳しい人を新たに採用するよりも、社労士に外注した方が安いです。
給与計算ミスをしないために詳しい人を雇用すると、その人の人件費で月額30~40万円くらいかかってしまいます。
社労士に給与計算を外注した際の費用は、従業員10人の場合で2.5万円~5万円前後です。
給与計算を社労士に依頼した際の費用相場
具体的な費用相場はおおむね次のとおりです。
従業員数 | 月額 |
基本料金 | 10,000~30,000円 + 従業員1名あたり500円~1,000円 |
従業員数5~9人 | +5,000円~ |
従業員数10~19人 | +10,000円~30,000円 |
従業員数20~29人 | +20,000円~4,5000円 |
従業員数30~49人 | +40,000円~70,000円 |
従業員数50人~ | +50,000円~80,000円 |
給与計算を社労士に依頼した場合、従業員が10人の場合2.5万円~5万円程度の費用で給与計算をすべて任せられます(従業員数が少なければもっと安い)。会社の規模にもよりますが、給与計算担当者の日給と給与計算ツールプラスアルファの費用で、[…]
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人を雇用するよりも、社労士に外注をした方が費用対効果が高いことがわかりました。
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具体的なサービスの内容や事務所の紹介について、ご興味をいただけた方はぜひ以下よりご確認ください。
まとめ
給与ミスをすると、給与や税金、保険料の再計算をした上で、対象の従業員に謝罪と対応をしなければなりません。
計算をし直すのは手間ですし、間違えに気づかないまま過ごせば金額が高額になる上に、労働基準監督署の調査を受けるかもしれません。
給与計算は時間とお金をかけても売上と利益に直結しないので、社労士に外注した方が安くてミスが少ないのでおすすめです。