給与計算をアウトソーシングする際の選択肢には以下があり得ます。
- 社労士|社会保険の手続きや就業規則の見直しをも任せられる
- 税理士|年末調整や税金のことも任せられる
- 事業会社|サポート範囲が広いが費用が高いケースも
給与計算の外注先を選ぶ手順は…
- 給与計算に付随して依頼する可能性がある業務を決める
- 業務を一部外注するのか丸投げするのか決める
- 外注先の職種が決まる
- 外注先候補に見積もりをしてもらう
給与計算だけを依頼するのであればどこに依頼してもさほど金額は変わりません。
ただ、給与計算をするには例えば勤怠データの集計のような付随した業務をこなす必要があります。
勤怠データの集計のように、給与計算についてまわる業務をどの程度任せるのかによって見積もりの金額が変わります。
他にも手間がかかっている関連業務があれば、給与計算と一緒に丸投げできると、優先度の高い業務にリソースを割きやすくなるかもしれません。
この記事では以下3点をご説明します。
- 給与計算の外注先を選ぶ手順
- 給与計算と一緒にアウトソーシングできる業務
- 給与計算のアウトソーシング先4つ|サポート内容・料金相場を比較
外注後のギャップをなくすためにご参考いただければ幸いです。
実績のある社労士を無料でご紹介
労災申請、給与計算、社会保険の手続き、助成金の申請などは、社会保険労務士におまかせしましょう。社会保険労務士相談ドットコムでは、あなたのお悩みの合わせて最大5人のプロから、ご提案とお見積もりが届きます。

給与計算のアウトソーシング先を選ぶ手順|満足度の高い外注先を決めるには


以下、給与計算のアウトソーシング先を選ぶ手順をご説明します。
- アウトソーシングしたい業務を選ぶ(外注先の職種が決まる)
- 業務を丸投げするのか一部任せるのか決める
- 依頼先を複数比較し見積もりをしてもらう
- 依頼する
アウトソーシングしたい業務を選ぶ
年末調整は税理士に、社会保険の手続きは社労士に依頼を
依頼先が決まらない場合は、外注したい業務を決めると自ずと選択肢が絞られてきます。
給与計算だけであればどこに依頼してもさほど金額が変わりません。
注意したいのは給与計算に加えて関連性のある業務を外注したいときです。
- 年末調整や税金の依頼をする予定がある→税理士に依頼
- 雇用保険や社会保険の手続きを任せたい→社労士に依頼
年末調整代理は税理士のみ、社会保険の手続きの代理は社労士のみができるので、外注する業務の内容でアウトソーシングする職種を決めるのが無難です。
給与計算に付随して依頼されることの多い業務については、『【前提知識】給与計算と一緒にアウトソーシングできる業務内容』にて後述します。
業務を丸投げするのか一部任せるのか決める
業務をどの程度外注するかも想定しておきましょう。
- 正確な見積もりをもらいやすくなる
- 外注できる業務の範囲について、契約後の認識の違いを防げる
勤怠管理を任せる想定で具体例をお話しします。給与計算をするには勤怠データが必要ですが、勤怠データを集計するには打刻漏れへのリマインドのような雑務が発生します。
この場合に外注する業務の範囲としては以下があり得ます。
- 勤怠管理を丸ごと外注
- 勤怠データの集計はこちらで行い給与計算だけ外注
依頼先の業務量が変わるので、見積もりの金額が変わってきます。
どの業務をどこまで外注するのかある程度想定してから見積もりをもらいましょう。

依頼先を複数比較し見積もりをしてもらう
アウトソーシングする業務が具体的に決まったら、何社からか見積もりをもらいましょう。
見積もりを依頼する際は、具体的にアウトソーシングしたい業務と、従業員の人数を伝えると正確な数字をもらいやすくなります。
当サイトをご利用いただくと、複数の社労士から給与計算の見積もりを受けられます。社労士への給与計算外注を検討している方はぜひご利用ください。
実績のある社労士を無料でご紹介
労災申請、給与計算、社会保険の手続き、助成金の申請などは、社会保険労務士におまかせしましょう。社会保険労務士相談ドットコムでは、あなたのお悩みの合わせて最大5人のプロから、ご提案とお見積もりが届きます。

依頼する
サポート内容と金額を確認して、問題がなければ契約成立です。
【前提知識】給与計算と一緒にアウトソーシングできる業務内容
給与計算と一緒に外注されることが多い業務をピックアップしてご紹介します。
社内の負担を減らせる可能性があるのでぜひご確認ください。
業務内容 | 社労士 | 税理士 | 事業会社 | 給与計算ソフト |
・給与計算 ・タイムカード回収 ・明細作成 | ○ | ○ | ○ | ○ |
勤怠管理 | 対応していることも ※要確認 | 勤怠管理システムと同期できるソフトもある | ||
社会保険等の手続き | ○ | × | 社労士がいれば○ | × |
助成金の申請代理 | ○ | × | 社労士がいれば○ | × |
年末調整 | 計算だけなら○ | ○ | 税理士がいれば○ | 年末調整の機能がついていることも |
人件費や契約内容のアドバイス | ○ | ○ | 給与計算の実務を代行する先が多い印象 | × |
給与計算・タイムカード回収・明細作成
従業員の勤怠集計を行い、実際の労働時間から支給する給与を計算してくれます。特に社労士にアウトソーシングを依頼すれば、労働関係の法律のプロフェッショナルですので、正確で間違いのない計算を行ってくれるでしょう。
給与計算代行の基本は、回収したタイムカード等から集計を行い、実際の給与・残業代などを算出することです。併せて以下の業務を行ってくれる場合がありますが、場合によってはオプションとして追加料金がかかるケースもあります。
タイムカード等の回収
タイムカードなどの実労働時間を把握する必要があります。社内で回収する方法もありますが、回収まで代行してもらえる場合があります。タイムカード回収に関しては、サービスでやってくれる場合とオプションで追加料金になる場合に分かれます。
明細作成、配布
給与計算をした後には給与明細を作成しますね。委託者がそのまま明細まで作成してくれ、会社に明細を郵送してくれる場合があります。こちらも追加料金を払う必要がある場合があります。
振込・納税
給与は基本的に指定口座に振込みをするでしょうし、給与の一部から住民税などを納める必要があります。従業員口座への振込みや税金の納税まで代行してくれる場合があります。
勤怠管理

給与計算をするには前提として勤怠のデータが必要です。勤怠管理を依頼しない場合、給与計算のために勤怠情報を集計したデータを共有することになります。
このとき、打刻漏れへのリマインドや集計は社内の誰かがやることになりますが、追加の費用を支払えば勤怠集計ごと任せられる先もあります。
勤怠管理へのサポートの範囲は依頼先によって異なる可能性が高いので、見積もり時に確認しておくのが無難です。
社会保険の手続き※追加業務の可能性大
従業員が入社・退社するとき、雇用保険・社会保険の加入や廃止の手続きが必要です。
上記の作業を代理できるのは社労士だけです。10人前後従業員がいる場合は給与計算とセットで雇用保険・社会保険の手続きを任せると業務負担を減らせるかもしれません。
社労士には独占業務があり、社労士以外の人物が独占業務を報酬を得て行った場合には、罰則も用意されています。社労士に依頼する側には罰則こそはありませんが、万が一社労士以外に独占業務を依頼した場合には、間違って処理されたり、行政への認可が[…]
助成金の申請代理
給与計算とは若干異なりますが、人を雇用しているのであれば助成金を受給できるチャンスがあるのでご紹介します。
厚生労働省は、雇用を安定させるために受給要件を満たす企業に対して助成金を給付しています。例えばキャリアアップ助成金の場合、有期契約労働者を正社員に転換した場合は1人あたり42万円~72万円の助成金が給付されます。人の育成を視野に入れている経営者の方であれば知っておいて損はありません。
助成金の申請代理は社労士しかできません。給与計算を外注するフェーズにいる経営者の方であれば助成金を得られる機会があるかもしれないので、給与計算の見積もりをもらう際にぜひあわせて聞いてみてください。
実績のある社労士を無料でご紹介
労災申請、給与計算、社会保険の手続き、助成金の申請などは、社会保険労務士におまかせしましょう。社会保険労務士相談ドットコムでは、あなたのお悩みの合わせて最大5人のプロから、ご提案とお見積もりが届きます。

助成金の申請代理の費用は成功報酬(受給できた金額の20%程度)なので、経営者側への金銭的リスクがないのも嬉しいポイントです。
助成金をもらいたいけれども、自分で申請するのと社会保険労務士に依頼するのとでは、どちらの方が良いのかな?と悩む人もいるでしょう。私は人事・労務担当者ですが、過去に自分で助成金申請をしたことがあります。結果的に受給には成功した[…]
年末調整※追加業務の可能性大
従業員を雇っている会社では年末調整が必要です。
年末調整を代理できるのは税理士なので、年末調整の依頼も行うのであれば、給与計算も税理士に依頼する手もあります。特に従業員が少ない会社では、年末調整の依頼と併せて給与計算も行ってくれるケースも多く、低コストで『年末調整+給与計算』を依頼できることがあります。

人件費や契約内容のアドバイス
特にコンサルティングに強みを持っている社労士に多いのですが、実際に発生している残業代や労働時間などを改善するためのアドバイスをしてくれるケースがあります。
例えば、残業代が無駄に発生して人件費が垂れ流しのようになっているのであれば、効率的に働ける契約内容の改善や、長時間労働が続いている場合の指摘・注意などです。
労働基準法違反に気を付けながら、抑えられるコストや無駄を省くアドバイスが期待できます。
給与計算のアウトソーシング先4つ|サポート内容・料金相場を比較
それぞれのアウトソーシング先に何をいくらで依頼できるのか相場をご紹介します。

社労士|就業規則見直しや社会保険の手続き代理が可能
給与計算を社労士に依頼した場合、従業員が10人の場合2.5万円~5万円程度の費用で給与計算をすべて任せられます(従業員数が少なければもっと安い)。会社の規模にもよりますが、給与計算担当者の日給と給与計算ツールプラスアルファの費用で、[…]
社労士に依頼できること
- 給与計算
- 勤怠管理:社労士による
- 労働保険や社会保険に関する書類の作成
- 就業規則・各種規定の作成と変更
- 人事・労務管理のコンサルティング
- 助成金の申請代理
給与計算をする前に、就業規則に給与について定めた賃金規定があるかどうかを確認しましょう。人を10人雇用する場合は就業規則の作成が義務付けられます。就業規則には賃金規定を必ず入れなければなりません。
就業規則の作成を社労士に依頼すると、自社特有の運用を適切に条文に落とし込めるので、従業員とのトラブルを未然に防ぎやすくなります。とはいえ、就業規則の作成を0から依頼すると15万円~40万円程度かかるので、就業規則の作成を最初から任せ[…]
「会社の憲法」と呼ばれる就業規則は、労務管理において必要不可欠なものです。しかし一度作成したものを何年も放置し、「うちはきちんと就業規則を作成したから大丈夫!」と安心していないでしょうか。形骸化された就業規則では会社の実情を反映せず[…]
給与計算に関係して社労士に相談されることが多い内容には例えば次のようなものがあります。
- 残業代の計算方法をどうするか(今のままでは良くない気がする)
- 賃金規定をどうするか
- 昔作った就業規則では心配なので見直したい
- 給与計算の方法が労働基準法に違反していないか
- 人の入社退社が増えてきたので労働保険・社会保険の手続きも任せたい
- 人を雇用しているので受給できそうな助成金があれば申請をお願いしたい
社労士の費用相場
- 給与計算:月額基本料金2万円~3万円+従業員の人数×500円~1,000円
- 勤怠管理:要問い合わせ
- 労働保険・社会保険関連の手続き:1つ5,000円~1万円
- 就業規則作成:5万円~15万円
- 就業規則変更:2万円~3万円
- 助成金申請代理:受給できた金額の20%~
- 顧問料:月額1万円~2万円
社会保険労務士を顧問として雇い入れることで、社会保険関係の申請、労働保険の手続き、労働災害時の保険申請に加え、就業規則の運用、解雇関係の諸問題、労使トラブルといった労務相談を一括でアウトソーシングするか、人事コンサルタントとしてアドバイスを[…]
税理士|既に顧問税理士がいる場合は給与計算もまとめて依頼すると楽
税理士に依頼できること
- 給与計算
- 勤怠管理:税理士による
- 確定申告・年末調整
- 税務申告
- 経理指導
税理士に依頼するメリットは税金と給与計算を一つの窓口にまとめられる点です。従業員の数が少なければ社労士に頼むような業務、具体的には就業規則の見直しや雇用保険・社会保険の手続きが発生しないので、顧問税理士に税金の計算と一緒に任せると楽です。
税理士の費用相場
- 給与計算:月額基本料金2万円~3万円+従業員の人数×500円~1,000円
- 勤怠管理:要問い合わせ
- 年末調整:2万円~15万円
- 確定申告:10万円~15万円
- 顧問料:月額1万円~10万円
年商や従業員数に応じて料金プランを定めていることが多い印象です。
事業会社|人事・労務を幅広く任せられる
給与計算を代理する事業会社に依頼する選択肢もあります。
事業会社の特徴は、給与計算に関連する人事労務周りの業務を幅広く扱っている点です。
社労士や税理士と比べるとホームページを作り込んでいるのでサポート内容がわかりやすい印象があります。
給与計算を正確に行うために社労士の監修を受けていたり提携していたりするので、結局最初から社労士に頼んだ方が安いような気もします。
とはいえ給与計算だけであれば社労士や税理士に依頼した場合とさほど費用は変わりません。人事労務関係の業務を幅広くサポートしているので、必要な業務だけを選んで外注できるかどうかがコスパをよくする上では重要になりそうです。
事業会社に依頼できること
- 入社手続き
- 勤怠管理
- 給与計算
- 年末調整
- 退社手続き
事業会社に依頼するメリットは、社労士や税理士に依頼する場合よりも業務を幅広く任せられるので、社内に業務を残さずに済む点です。
勤怠管理や保険以外の入社・退社手続きは社労士や税理士に依頼できないことが多いので、社内の人が対応しなければなりません。
例えばRemoba労務に依頼をすると、ルーチン業務を丸ごと任せられるので、担当者の負担を軽減できます。
バックオフィス人材が不足している場合は、以下の記事もご確認ください。
事業会社の料金相場
月2万円~月20万円程度
料金相場に開きがある理由は以下の2点です。
- 企業によって給与計算以外のサポートの範囲が異なるから
- 従業員の数で金額が変動するから
給与計算ソフト|社内のリソースを使うが外注より安い
アウトソーシングとは少し違いますが参考までに給与計算ソフトでできることをご紹介します。
給与計算ソフトでできること
- 社内で給与計算ができる
- (表計算ソフトとは違い)法令改正の内容が反映される
- 年末調整や確定申告ができることも
- 労務管理や勤怠管理と連携していることも
- カスタマーサポートがあることも
給与計算ソフトの料金相場
- 月額型:月2,000円~月2万円程度
- 買い切り型:2万円~10万円程度

給与計算をアウトソーシングする5つのメリット
給与計算をアウトソーシングするメリットは以下5点です。
- 売上に直結する業務に時間とマンパワーを使える
- 経理人材のコスト削減が期待できる
- 労働環境や賃金が法令に違反していないか相談できる
- 法令改正への対応・計算ミスを心配しなくていい
- 給与計算担当者の育成と定着を気にしなくていい
売上に直結する業務に時間とマンパワーを使える
給与計算は大切な仕事ではありますが、いくら努力をしても売り上げが増えるわけではありません。
給与計算を外注すれば他の業務に時間を使えます。
経理人材のコスト削減が期待できる
アウトソーシングすることによってコストはかかってきますが、長い目で見ればこのまま自社内でリソースの確保をするよりもコストを抑えることができる場合があります。
例えば、今後も事業規模が大きくなっていくのであれば、給与計算を含めた労務担当者を1人採用することになるでしょうが、その場合は月に20~30万円の人件費がかかります。アウトソーシングでは、15万円前後で依頼できるケースもありますので(従業員数にもよる)、結果的にアウトソーシングの方がコストを抑えられることも十分にあり得ます。
労働環境や賃金が法令に違反していないか相談できる
自社の労働時間や給与などが労働基準法に違反した運用になっていないか相談できます。従業員が10人を超えると就業規則を作成しなければなりません。賃金規定を考え直す際に、どのようなルールで運用するべきか迷う場合は社労士に相談するといいかもしれません。
給与に関して揉めた場合に、就業規則は証拠になるので、従業員が増えてきたタイミングで見直しをできると安心です。
法令改正への対応・計算ミスを心配しなくていい
社内で給与計算をした場合は法令改正への対応をしなければいけませんし、計算ミスがあれば従業員との間に気まずい空気が流れるかもしれません。
社労士に給与計算を依頼すれば法令改正への対応も、計算ミスも心配しないでよくなります。
給与計算担当者の育成と定着を気にしなくていい
給与計算を社内で対応しようと思うと以下の懸念があり得ます。
- 給与計算の経験がある人を雇うと人件費がかかる
- 担当者を育成しようにも、給与計算に必要な知識を調べたり勉強したりするのに時間がかかる
- 給与計算の担当者が1人だと、離職すると業務が止まる
- 給与計算が属人化していて引き継ぎが難しそう
給与計算を外注すれば上記のリスクはありません。従業員が増えてきて給与計算が手間に感じてきたら、給与計算の外注を検討するタイミングかもしれません。
まとめ
給与計算の外注先を選ぶ手順は次のとおりです。
- 給与計算と一緒に外注する業務を決める
- 外注したい業務を扱っている職種を決める
- 外注したい業務を伝えて外注先候補に見積もりをする
- 外注先を決める
給与計算は社労士も税理士も対応できます。給与計算と一緒にどの業務を依頼するかを決めれば、自ずと依頼先が決まります。
目的別のアウトソーシング先をまとめると…
- 社労士:社会保険の手続き・就業規則見直し・助成金申請を依頼したい
- 税理士:年末調整や確定申告を依頼したい
- 事業会社:労務の部署を丸ごと外注したい
- 給与計算ツール:従業員数が多くないので自力で給与計算をしたい
実績のある社労士を無料でご紹介
労災申請、給与計算、社会保険の手続き、助成金の申請などは、社会保険労務士におまかせしましょう。社会保険労務士相談ドットコムでは、あなたのお悩みの合わせて最大5人のプロから、ご提案とお見積もりが届きます。
