従業員が退職した際の社会保険・雇用保険手続きは次の5点です。
- 被保険者資格喪失届提出・被保険者証の回収
- (退職者が希望すれば)任意継続被保険者資格取得申出書提出
- 雇用保険被保険者資格喪失届提出
- (退職者が離職票発行を希望する場合)雇用保険被保険者離職証明書提出
- (従業員が0人になり、今後採用の予定がない場合)雇用保険適用事業所廃止届などの提出
以下、それぞれの書類の入手方法・記入例・添付書類・提出先・提出方法・提出期限をご案内します。
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従業員退職時の社会保険(健康保険・厚生年金)手続き
社会保険に関して、以下2点の対応をしましょう。
- 被保険者資格喪失届の提出・被保険者証の回収
- 健康保険任意継続を希望するか確認(退職金がある場合は退職者へのメリット大)
被保険者資格喪失届の提出・被保険者証の回収
被保険者資格喪失届を、地域を管轄する事務センターまたは年金事務所に提出しましょう。
あわせて、本人と被扶養者の健康保険被保険者証を回収してください。
手続き名 | 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 |
入手方法・入手先 | 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 |
記入例 | 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 |
添付書類・必要書類 | 1. 組合管掌健康保険の被保険者 特になし 2. 全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者 ・健康保険被保険者証(本人分及び被扶養者分) ・(交付されていれば)高齢受給者証、健康保険特定疾病療養受給者証、健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証 |
提出先 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 事実発生から5日以内 |
詳細 ※手続きをする際に必ずご確認ください | 手続きの詳細説明 |
健康保険任意継続を希望するか確認(退職金がある場合は退職者へのメリット大)
健康保険の任意継続を希望するかどうか確認しましょう。特に、退職金を受け取っていて所得が一時的に上がっている人にはメリットが大きい制度です。
任意継続のメリットは、退職時の収入に応じて保険料が決められ、2年間保険料が変わらない点です。
国民健康保険に加入する場合、前年の所得に応じて保険料が決まります。退職金を受け取っていると前年の所得が一時的に上がるので、保険料が割高になります。
どちらの保険料の方が割安で済むか計算をした上で、退職者の方は意思決定をされるとよさそうです。
退職者が健康保険の任意継続を希望する場合は、任意継続被保険者資格取得申出書を提出しましょう。
手続き名 | 任意継続被保険者資格取得申出書 |
入手方法・入手先 | ・手書き用 ・入力用 |
記入例 | 任意継続被保険者資格取得申出書 |
添付書類・必要書類 | ・任意:退職日が確認できる書類(退職証明書、雇用保険被保険者離職票、健康保険ん被保険者資格喪失届等のコピー) ・被扶養者がいる場合は、被扶養者認定要件の確認ができる書類 |
提出先 | 申請者の住所を管轄する協会けんぽ支部 |
提出方法 | 窓口持参、郵送 |
提出期限 | 退職日の翌日から20日以内 |
詳細 ※手続きをする際に必ずご確認ください | 手続きの詳細説明 |
従業員退職時の雇用保険手続き
雇用保険に関してやることは次の2点です。
- 雇用保険被保険者資格喪失届を提出
- 失業保険を受給する予定があるか(離職票が必要かどうか)確認
雇用保険被保険者資格喪失届を提出
手続き名 | 雇用保険被保険者資格喪失届 |
入手方法・入手先 | 雇用保険被保険者資格喪失届 |
記入例 | 雇用保険被保険者資格喪失届 |
添付書類・必要書類 | 【必ず必要】 資格喪失届(マイナンバーの記載が必要) 【離職票を交付希望の場合に必要 ・離職証明書 (3枚複写 ) ・支給の内訳と交通費が分かる賃金台帳又は給与明細書 (記載した期間すべて) ・出勤簿又はタイムカード (記載した期間すべて) ・離職理由の確認できる書類のコピー |
提出先 | 管轄の公共職業安定所(ハローワーク) |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 退職日の翌々日から10日以内 |
詳細 ※手続きをする際に必ずご確認ください | ネット上に公式の情報が少ないため、ハローワークに問い合わせるのが無難 |
失業保険を受給する予定があるか(離職票が必要かどうか)確認
離職票が必要かどうかを確認しましょう。退職者が失業保険を受給する場合は、離職票が必要です。離職票が必要な場合は、以下の手続きをしましょう。
手続き名 | 雇用保険被保険者離職証明書 |
入手方法・入手先 | ハローワークの窓口でもらう(郵送で取り寄せる)、e-govで検索 |
記入例 | 雇用保険被保険者離職証明書 |
添付書類・必要書類 | 出勤簿 退職辞令発令書類 労働者名簿 賃金台帳 離職証明書(離職票が不要のときは提出しなくてよい) 離職理由が確認できる書類等 |
提出先 | 管轄の公共職業安定所(ハローワーク) |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して10日以内 |
詳細 ※手続きをする際に必ずご確認ください | 手続きの詳細説明 |
従業員退職時の労災保険手続きは基本的に不要・退職者が在籍した月までの保険料の申告を
従業員が退職しても労災保険の手続きは必要ありません。
労働保険年後更新申告書で保険料の申告をする際に、従業員が在籍していた月までの保険料を申告することを忘れないようにしましょう。
退職後従業員が0人になり、今後採用をしない場合の労働保険(雇用保険・労災保険)手続き
人を1人も雇っていない企業には、労働保険に加入する義務がありません。従業員が0人になって、当面人を雇用する予定がない場合は以下の手続きをしましょう。
- 雇用保険適用事業所廃止届
- 労働保険確定保険料申告書
- 労働保険料還付請求書
雇用保険適用事業所廃止届
被雇用者が1人もいなくなり、雇用保険の適用事業所でなくなるために次の手続きをしましょう。
手続き名 | 雇用保険適用事業所廃止届 |
入手方法・入手先 | 雇用保険適用事業所廃止届 |
記入例 | 雇用保険適用事業所廃止届の記入例(16ページ目) |
持参するもの | 登記事項証明書、閉鎖謄本、労働者名簿、出勤簿など廃止の 事実が確認できる書類 |
提出先 | 管轄の公共職業安定所(ハローワーク) |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 廃止した日の翌日から起算して10日以内 |
詳細 ※手続きをする際に必ずご確認ください | 手続きの詳細説明 |
労働保険確定保険料申告書
雇用保険の適用事業所でなくなる際は、労働保険料を精算する必要があります。
従業員が0人になった日の翌日から50日以内または年度更新のタイミングで、労働保険確定保険料申告書を提出しましょう。
手続きの進め方が多少複雑なので、手続きの詳細説明をご確認のうえご対応ください。
なお、一元事業所と二元事業所では保険料の計算方法が異なるので、混同しないようにご注意ください。
手続き名 | 労働保険確定保険料申告書 |
入手方法・入手先 | 労働基準監督署またはg-govで検索 |
記入例 | 労働保険確定保険料申告書 p.20以降 |
添付書類 | ー |
提出先 | 金融機関、管轄の労働局、管轄の労働基準監督署、年金事務所 |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 従業員が0人になった日の翌日から50日以内または年度更新時 |
詳細 ※手続きをする際に必ずご確認ください | 手続きの詳細説明 |
労働保険料還付請求書
労働保険料を支払う場合、概算保険料を計算して申告と納付を同時期に行います。従業員が退職した場合、概算保険料が実際の保険料より高額になることがあります。この場合は、労働保険料還付請求書を提出することで、保険料の還付を受けましょう。上記の労働保険確定保険料申告書と併せて提出しましょう。
手続き名 | 労働保険料還付請求書 |
入手方法・入手先 | 労働保険料還付請求書 |
記入例 | 労働保険料還付請求書 p.33 |
添付書類 | 労働保険確定保険料申告書 |
提出先 | 管轄の労働局、管轄の労働基準監督署 |
提出方法 | 郵送、窓口持参、電子申請 |
提出期限 | 従業員が0人になった日の翌日から50日以内または年度更新 |
詳細 ※手続きをする際に必ずご確認ください | 手続きの詳細説明 |
従業員退職時に社会保険・雇用保険以外にやること一覧
社会保険以外にやるべき手続きは次のとおりです。
- 退職願・退職届をもらう
- 退職者に渡す書類の用意:離職票、退職証明書、源泉徴収票などを用意
- 機密保持に関する誓約書:社内の情報を外部に漏らさない旨の誓約書があると安心です。
- 備品や資料、保険証の回収
- 退職金の用意(ある場合は)
- 住民税の手続き
詳細は以下の記事でご説明します。
まとめ
従業員が退職した際に対応する手続きと確認するべき時効は次のとおりです。
- 被保険者資格喪失届提出・被保険者証の回収
- (退職者が希望すれば)任意継続被保険者資格取得申出書提出
- 雇用保険被保険者資格喪失届提出
- (退職者が離職票発行を希望する場合)雇用保険被保険者離職証明書提出
- (従業員が0人になり、今後採用の予定がない場合)雇用保険適用事業所廃止届などの提出
退職する時に限らず、人を採用したり育休をしたりする際など事業を継続していると度々社会保険手続きが必要です。
どんなことがあったときに社会保険の手続きをしなければいけないか把握していない方は、以下の記事を備忘録としてお使いください。
手続きが面倒であったり、忘れたりしたことがある方は、社労士に外注をしてしまうとタスクを1つ減らせるのでより重要なことに頭と時間を使いやすくなるかもしれません。