社労士が信用できないときの対応としては、次の4つがあり得ます。
- 【ほぼ必須】証拠を残す
- 社労士の対応(社会保険料の計算など)が間違っていないか、別の社労士に確認する
- 社労士を変更する
- 社労士に対するクレームを入れたり、損害賠償請求を検討したりする
社労士の業務にミスがあると、従業員に支払う給与の金額がズレて従業員とトラブルになったり、ひどい場合は助成金の不正受給で逮捕されたりすることもあります。
新型コロナウイルス対策の国の雇用調整助成金をだまし取ったとして、警視庁は10日、社会保険労務士の女(52)=東京都品川…
もちろん逮捕されるのはよほど悪質性が高い場合の話ですが、社労士の仕事はお金や法律に関する仕事が多く、放置すると被害が拡大することもあるので早めに対応したいところです。
以下、社労士が信用できないときの対応を4つご紹介します。目的別に相談先もご案内しているので、問題解決にお役立てください。
社労士が信用できないときの対応① 証拠を残す
この記事でご説明する対応をする前に、大前提として社労士の対応にミスや信頼できない点がある場合は、証拠を残しておくのが無難です。ここでは、以下3点をご説明します。
- 証拠を残すのが重要な理由
- 文面や録音で証拠を残す
- 悪質な場合は、社労士の懲戒事由を把握したうえで証拠を残す
「社労士を変更できさえすればいい」「揉め事になるほどの問題があるわけではない」という場合以外は対応しておくのが無難です。
証拠を残すのが重要な理由
社労士とのトラブルに限らず、契約解除、示談や訴訟につながり得るトラブルが起きた場合は、証拠を残すのが無難です。
例えば、顧問契約の打ち切りを打診したり、社労士の対応が本当に間違えているのかを確認したりする際に証拠が必要になります。
証拠がなぜ重要なのか、具体的な例を出して説明します。
社労士と1年間の顧問契約をして、1年が過ぎる前に社労士にミスがあったとしましょう。経営者から社労士に顧問契約の解除を申し出る際に、証拠なしに「あなたが信用できないので契約を解除します」と伝えても、相手側の言い分もあるので解約できるかどうかは相手や状況次第です。
一方、社労士が対応した給与計算などにミスがあったとわかる証拠をもとに交渉をすれば、「中途解約条項のこの条文にあるとおり、あなたの対応に許容できないミスがあったの解約します」というように、より通る可能性が高い主張ができるようになります。
もっとも、相手方に対応がまずかった自覚がある場合や、顧問契約が1月更新の場合はここまでしなくても解約できるので、状況を見て証拠を残した方がいいかどうかご判断ください。
文面や録音で証拠を残す
前後のやりとりなども含めて、社労士に問題があることがわかるやりとりや仕事の成果物をスクリーンショットなどで保存しておきましょう。
悪質な場合は、社労士の懲戒事由を把握したうえで証拠を残す
社労士の対応があまりに悪質で、何らかの処分を期待するような場合は、社労士の懲戒事由を把握したうえ証拠を残して社労士会に相談をするといいでしょう。
社労士会に相談をする際に、単に社労士の対応がひどいと相談をするよりも、「社労士の〇〇さんから懲戒事由にあたりえる対応を受けている、具体的には~」と伝えた方が、より説得力があります。
懲戒事由は次のとおりです。
(ア) 社会保険労務士法第 25 条の2第1項
a 故意に、真正の事実に反して申請書等の作成、事務代理又は紛争解決手続代理業務を行ったとき
b 不正に労働社会保険諸法令に基づく保険給付を受けること、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険料の賦課又は徴収を免れることその他労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしたとき
(イ) 法第 25 条の2第2項相当の注意を怠り、法第 25 条の2第1項の行為をしたとき
(ウ) 法第 25 条の3(法第 25 条の2の規定に該当する場合を除く。)
a 法第 17 条第1項若しくは第2項の規定により添付する書面又は同条第1項若しくは第2項の規定による付記に虚偽の記載をしたとき
b 法及びこれに基づく命令又は労働社会保険諸法令の規定に違反したとき
c 社労士たるにふさわしくない重大な非行があったとき
故意に助成金や給付金の不正受給に手を貸したり、社会保険料を過小に納付することを手伝ったりした場合に懲戒事由に該当する可能性があります。
冒頭でご紹介したコロナ対策の助成金不正受給の事件では、社労士だけでなく会社の代表者も逮捕されています。懲戒事由にあたる程度の行為をされている場合は事業主側にも責任を問われることがあり得るので、違和感を感じたら早めに社労士会に相談をしましょう。
社労士が信用できないときの対応② 別の社労士にセカンドオピニオンを求める
給与や社会保険料の計算にミスがありそうな場合は、別の社労士にセカンドオピニオンを求めることで、本当にミスをしているのか、具体的にどんなミスをしているのかがわかります。
セカンドオピニオンを求める社労士のあてがない方は、当サイトの一括見積もりより意見をもらう社労士を探せます。
相談をする際は、社労士がミスしていそうな業務の概要を伝えたうえで、ミスをしたことがわかる資料を面談時に社労士に見せられるとスムーズです。事前準備については社労士に指示を仰いでからで問題ないので、ただちに資料を集めなくても大丈夫です。
社労士が信用できないときの対応③ 社労士を変更する
こちらの要望を伝えても改善が期待できないような場合は、社労士を変更するのも1つです。
社労士を変更する際は、新しい社労士を見つけてから今の社労士に解約の申し出をするのが無難です。引き継ぎをスムーズに進めたり、業務が止まってしまうのを防いだりするためです。
度々のご案内で恐縮ですが、当サイトの一括見積もりを使うと、複数の社労士を比較して社労士を探せます。「次は信頼できる社労士を見つけなければ」と感じる方も慎重に新しい契約相手を検討できるので、お役立ていただければ幸いです。
また、以下の社労士事務所にはグループ創業50年の信頼と実績があるので、安心して仕事を任せられます。顧問契約1年間無料キャンペーンを実施しているので、働きぶりを確認してから2年目以降も仕事を頼むかどうかを判断できます。
社労士が信用できないときの対応④ 社労士会などに相談をする
社労士の変更やセカンドオピニオンを求める以外の解決方法を検討したい場合は、以下の相談先に相談をする選択肢があります。
- 社労士会に相談する|社労士に対する苦情を入れたいとき
- 法テラスに相談する|問題解決につながる制度や法律の案内を受けたいとき
- 弁護士会に相談する|損害賠償請求を検討しているとき
社労士会に相談する|社労士に対する苦情を入れたいとき
社労士に対する苦情を本人以外にいいたい場合は、その社労士が所属している社労士会の苦情処理相談窓口等に相談できます。以下より当該社労士が所属している社労士会を探し、ご相談ください。
法テラスに相談する|問題解決につながる制度や法律の案内を受けたいとき
当サイトでは主にセカンドオピニオンを求めたり、社労士を変えたりする方向性での解決策を提示しましたが、他の解決策を考えている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方は、法テラスにトラブルの概要を伝えることで、関連する制度や法律の案内を受けられます。解決方法の糸口を考える際に利用できます。
弁護士会に相談する|損害賠償請求を検討しているとき
具体的な損害を被っていて、一定以上の金額を請求する必要がある場合は、弁護士に損害賠償請求の代理を依頼しましょう。
弁護士会には法律相談ができます。損害賠償請求が認められそうかどうかや、他の解決策はあり得るのか、といった相談ができます。
以下よりお住まいの地域の弁護士会を探してご相談ください。
まとめ
社労士が信用できない場合、トラブルの程度が軽い場合以外は証拠を残したうえで対応をしましょう。顧問契約を中途解約する場合、他の社労士にセカンドオピニオンを求める場合、損害賠償請求をする場合のいずれも証拠があった方が安心です。
当サイトよりセカンドオピニオンを求めたり、新たに顧問契約をしたりする社労士を探せます。社労士業務にミスがあると、手続きのやり直しのような別のトラブルが発生する恐れがあるので、早めに問題を解決しましょう。