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顧問社労士とは?相談・外注できる業務、必要なタイミング、費用を解説

顧問社労士(こもんしゃろうし)とは、人事や労務管理に関する相談を受けたり、給与計算や労働・社会保険の手続きを継続的に代理したりする社労士のことです。

顧問契約のサポート内容は主に次の3パターンです。

  1. 相談のみ
  2. 相談+手続き外注
  3. 人事労務コンサル

顧問契約の内容に応じて毎月の顧問料が発生します。顧問料は従業員規模や外注する業務の量によって決まります。

社労士との顧問契約が必要かどうかの判断基準は、相談や外注を毎月したいかどうかです。

人を雇う前であれば基本的に社労士の出番はありません。人を雇った後でも、単発で依頼をした方が安く済むこともあります。

この記事では、顧問社労士への依頼を検討されている方に向けて、主に以下4点をご説明します。

  • 顧問社労士に依頼できる仕事の内容
  • 顧問社労士が必要になるタイミングや依頼するメリット
  • 顧問社労士が不要なケース
  • 顧問社労士へのよくある不満と、依頼後のギャップをなくす社労士の選び方

社労士と顧問契約をする前に知っておきたい情報を詳しくご説明していますので是非最後までご参考ください

目次

顧問社労士とは?仕事内容・顧問契約の内容3種・他士業との役割の違い

「顧問社労士にはどんな仕事を依頼できるんだろう」という方に向けて、顧問社労士の役割を他の士業と比較しつつかんたんに説明します。

どんなときに社労士に依頼をすればいいのかがわかります

顧問社労士は従業員とのトラブルを未然に防ぐためのルール作りが得意

社労士は従業員とのトラブルを防ぐために、適切な内容の就業規則を作成したり、就業規則と現場の運用のずれを改善したりするのが得意です。

1つ具体例をあげます。

就業規則の内容が適切でない場合によく問題になるのは残業代の請求です。これは残業代の計算方法が就業規則に明記されていなかったり、内容が適切でなかったりした場合に起こります。

残業代の計算の方法が間違っていた場合、追加で残業代を請求されます。従業員の数だけ未払いの残業代を請求される恐れがあります。

残業代の計算方法はあくまで就業規則の中で明記されるべきルールの1つでしかありません。他のルールに関しても法律に違反しないように、現場での運用と乖離がない状態にする必要があります。

社労士と顧問契約をすると経営者や人事労務担当者にどんないいことがあるのか?

社労士と顧問契約をするとどんな恩恵があるのでしょうか。

開業社労士(825人が回答)に、社労士業務がどのように顧問先の役に立っていると思うかを調べたアンケートによると、強くそう思う(役に立っていると思う)と回答されることが多かったのは以下5点です。

  1. 労働に関するトラブルの回避や解消(35.8%)
  2. 労働・社会保険に関する企業のコンプライアンス(33.9%)
  3. 人事労務に関する事務的な業務の代替(32.7%)
  4. 経営者の安心(27.5%)
  5. 労使間の信頼関係づくり(17.5%)

 

引用元:社会保険労務士の業務展開についてのアンケート調査|大阪大学

上記のような恩恵を期待している場合は顧問社労士をつけても大きなギャップはなさそうです。

顧問社労士の具体的な仕事内容

顧問社労士に具体的にどのような業務を依頼できるのかをご説明します。

  • 1号業務:申請書類の作成(独占業務)
  • 2号業務:規則・帳簿の作成(独占業務)
  • 3号業務:コンサルティング
  • 上記以外の業務(給与計算代理、行政調査への対応など)

1号業務:申請書類の作成(独占業務)

労働・社会保険の事務手続きや助成金の申請代理を依頼できます。これらの業務を代理できるのは社労士だけです。

具体的な手続きは例えば…

  • 労働保険、社会保険の新規加入と脱退および被保険者資格の取得・喪失等の手続き
  • 健康保険・厚生年金保険の算定基礎届けおよび月額変更届
  • 労働保険の年度更新手続き
  • 健康保険の傷病手当金や出産手当金などの給付申請手続き
  • 労災保険の休業(補償)給付や第三者行為災害の給付手続き
  • 死傷病報告等の各種報告書の作成と手続き
  • 解雇予告除外認定申請手続き
  • 年金裁定請求手続き
  • 審査請求、異議申立、再審査請求などの申請手続き
  • 各種助成金申請手続き
  • 労働者派遣事業などの許可申請手続き
  • 求人申込みの事務代理

引用元:労働・社会保険事務手続きの提出代行・事務代理|東京都社会保険労務士会

労務・社会保険の手続きは社員が入社・退社したときに発生する他、年に一度保険料を計算して申告する作業が必要になります。

助成金は労働者の雇用を安定させる目的で給付されるので、従業員が働きやすい環境を作ろうとしている企業であれば給付できる見込みがあります。

助成金申請代理は完全成功報酬で社労士に依頼できるので、受給に成功した時だけ受給額の20%前後を支払えばいいのもリスクが少なく嬉しいポイントです。

2号業務:規則・帳簿の作成(独占業務)

就業規則や賃金規定を作成・修正できるのは社労士だけです。

【社労士が作成する規定例】

  • 賃金規程
  • 退職金規程
  • 安全衛生規程
  • 災害補償規程
  • 福利厚生規定
  • 出向規定
  • 旅費規定
  • 育児・介護規定
  • 寮・社宅管理規定

引用元:諸規程及び備え付け帳簿等の作成|東京都社会保険労務士会

【社労士が対応する協定例】

  • 三六協定(時間外・休日労働協定)
  • 休憩時間の一斉付与除外協定
  • 1年単位の変形労働時間制の労使協定
  • フレックスタイム制の労使協定
  • 貯蓄金管理に関する労使協定
  • 賃金控除に関する労使協定
  • 事業場外みなし労働時間制に関する労使協定
  • 専門業務型裁量労働制に関する労使協定
  • 企画業務型裁量労働制の労使委員会の決議等
  • 年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定
  • 育児休業の適用除外に関する労使協定
  • 介護休業の適用除外に関する労使協定

引用元:諸規程及び備え付け帳簿等の作成|東京都社会保険労務士会

上記の作成や修正をただ任せるだけでも構いませんが、社労士に相談するメリットは、法律の許す範囲で使用者側に有利であり、なおかつ公平感のあるルールを決められる点です。

就業規則に書かれるような内容は、できるだけ早い段階で決めるべきです。就業規則の変更が従業員にとって不利益になる場合は、従業員に説明をして合意を得なければいけないためです。

企業規模が大きくなればなるほど、使用者側にとって有利なルールに変更するハードルが高くなります。

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3号業務:コンサルティング

人事労務コンサルティングを提供している社労士もいます。上記で説明した社内のルールをどうするか相談して就業規則を作成し、就業規則のとおりの職場を作り上げる業務が社労士が提供するコンサルティング業務の一例です。

労務管理だけではなく人材の採用や定着、評価制度のコンサルティングをしている社労士もいますが、どちらかというと少数派です。

上記以外の業務

  • 給与計算の代理
  • あっせん代理:話し合いによってトラブルの解決を目指すこと
  • 行政調査への対応:労働基準監督署や年金事務所の調査への対応をサポート

【図解】こんな時は誰に相談する?社労士・税理士・弁護士のサポート内容の違い

社労士と弁護士の役割の違い

社労士は従業員とのトラブルを予防するのが得意です。実際に発生したトラブルを解決する際は、あっせんという話し合いで解決を目指す方法でサポートができます。

交渉を代理できるのは弁護士だけです。弁護士は、職場のルール作り以外の問題に対しても幅広く対応しています。

就業規則の作成や修正代理は社労士の独占業務とされているものの、実際は弁護士に就業規則を見てもらうようなこともあります。この辺りは職種よりも、相談相手に経験や実績があるかどうかが重要なので、ご自身にとって相談しやすい方に相談するといいでしょう。

社労士に依頼するメリットは次の2つです。

  1. 人事労務関連の法律や手続きに特化している
  2. 給与計算、労働・社会保険の手続き外注に対応している

社労士と税理士の役割の違い

税理士は税金に関する業務を専門的に扱います。給与計算の代理については税理士に頼んでも社労士に頼んでも問題ありません。

労働・社会保険の手続きも依頼したい場合や就業規則の内容が心配な場合は社労士を選ぶとよさそうです。

社労士と顧問契約、サポートの内容はこの3パターン

現場の声

社労士を選んでいるんだけれど、事務所によってサポートの範囲が違っていて比較しにくい

顧問契約の内容や費用は事務所ごとに自由に決められるので、サービスの内容を比較しにくいと感じる方もいらっしゃるかも知れません。顧問契約によるサポート内容は大まかに以下の3つに分かれます。

  1. 相談のみのプラン
  2. 相談+手続きを外注できるプラン
  3. 人事労務コンサルがメインのプラン

基本は社内で対応したい方は1を。外注したい場合は2を選ぶといいでしょう。

相談のみのプラン

困った時だけ相談・質問したい場合は相談だけの顧問契約をするといいでしょう。企業規模によって月1~17万円程度で利用できます。質問への回答だけが主な業務なので、最も安い価格帯で顧問契約できます。

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相談+手続きを外注できるプラン

相談に加えて給与計算や労働・社会保険の手続きを外注するプランです。相談料に加えて依頼した手続きの分だけ費用が発生します。

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人事労務コンサルがメインのプラン

社労士のコンサルについては、やっている社労士とやっていない社労士がいます。コンサルは社労士の独占業務ではないうえに、本来社労士が持っている知識とは別の経験が求められることもあるためです。

社労士が提供していることが多いコンサルの内容は…

  • 採用・人事コンサル
  • 人事評価制度作成コンサル
  • 職場環境改善コンサル
  • コンプライアンス・労務DD関連コンサル

上記のようなコンサルを依頼する場合は、民間のコンサル会社も比較の対象になります。

顧問社労士をつける7つのメリット

  1. 売上・利益の最大化と法令遵守の両立を目指せる
  2. 会社のルールについて後ろめたさを感じずに済む
  3. 残業代請求や不当解雇を主張されるリスクを減らせる
  4. 給与計算や労働・社会保険の手続きを自動化できる。ミスもない
  5. 労務担当者を1人雇用するよりも安く手続きを外注できる
  6. いつでも人事労務に関する相談ができる
  7. 自社の状況を踏まえた対策を考えられる

売上・利益の最大化と法令遵守の両立を目指せる

経営者は、法律を守りながら売上や利益の最大化を図る必要があります。

特に残業代についてはどの制度を適用するのかによって、同じ残業時間であっても発生する残業代が変わるので、会社にとってどんな選択をするのがいいか考える必要があります。

社労士に相談することで、売上や利益の追求と法令遵守のバランスが取れた組織づくりができます

会社のルールについて後ろめたさを感じずに済む

業界の慣習やこれまでの会社独自のルールが法的にはグレーなこともあるかも知れません。

「この賃金の計算方法で大丈夫かな」「就業規則の内容が古くなっていてやばそうだな」と気にしながら仕事をするのは精神衛生上よくありません。

社労士と職場のルールの見直しをすることで、法律を破らずに仕事をしているんだ、という安心感を得られます。

残業代請求や不当解雇を主張されるリスクを減らせる

就業規則の内容に問題があった場合で、特に大きめなトラブルになりがちなのは残業代請求や不当解雇をめぐるトラブルです。100万円単位で請求されることも珍しくはありません。

賃金に関するルールは揉め事の種になりうるので早く問題の原因を摘んでおきたいところです。

給与計算や労働・社会保険の手続きを自動化できる。ミスもない

従業員が増えてくると、給与計算や保険の手続きに時間を取られますし、専門知識が必要なので、「これで大丈夫なんだろうか?」と不安になることがあります。

人事労務freee調べによると、アンケートに回答した人事労務担当者の6割が労務業務に不安があると回答しています。

引用元:6割以上の人事労務担当者が「労務業務に対する不安」を抱えている実態が明らかに。マネジメント層と担当者の認識にギャップも|HRpro

顧問社労士がいれば、不安を抱えたタイミングですぐに相談できます

相談だけではなく手続きを全て外注するのもいいかもしれません。ミスが起きませんし、人を1人雇用するよりも安価です。

バックオフィス業務は責任が大きくミスが許されない上に、頑張っても売上や利益につながらないのが辛いところです。であれば、ミスをしない社労士に丸投げしてしまうのもいい選択ではないかと思います。

労務担当者を1人雇用するよりも月20万円以上安く外注できる

人を1人雇用すると、月40万円程度かかります(就労条件総合調査の概況より)。

社労士に給与計算をすると従業員50人規模の会社の場合でも月額5万円程度から依頼できます。上記に加えて相談顧問料が1~5万円程度、社会保険の手続きを依頼したとしても月額20万円もかかりません(会社の規模が大きい場合はもっとお金がかかるかもしれません)。

人を雇用した場合は研修が必要になることもありますし、退職のリスクがあります。給与計算や保険の手続きは社労士に依頼した方が安く済むかもしれないので、人材採用を検討されている場合は一度外注も検討してみてください。

いつでも人事労務に関する相談ができる

疑問や不安を感じたときにすぐ相談できます。初めての相手に相談する場合と比べると、ちょっとしたことでもすぐに聞きやすい点がメリットです。普段から人事労務関係で不明点が多い方ほど恩恵を感じるでしょう。

自社の状況を踏まえた対策を考えられる

顧問社労士は自社の状況をよくわかっています。人事労務に関する質問に回答すること自体はどの社労士でもできますが、法律的な解答を提示するだけではなく、その裏にある問題解決への最適なアプローチ方法を相談しようと思うと、自社の状況をよくわかっている顧問社労士に聞くのがベターです。

質問の前提となる自社の状況を0から相談しなくていいのでスムーズに疑問を解決できます。

顧問社労士が必要になる7つのタイミング

社労士と顧問契約をする恩恵が特に大きいのは次のようなタイミングです。

  1. 初めて人を雇用しようとしている
  2. 従業員の人数が10人に達しそう
  3. 人事労務担当者の採用を検討している
  4. 勤怠管理や給与計算、保険の手続きが間違っていないか不安
  5. 昔作った就業規則が大丈夫か気になりだした
  6. 賃金や残業代のルールが大丈夫か気になりだした
  7. 雇用や労働に関するルールや施策についての相談相手が欲しい

初めて人を雇用しようとしている

初めて人を雇用するときは、準備しなければいけないことが多い(しかも法令違反をしないようにルールを決めなければいけない)ので社労士の必要性が高いです。

初めて人を雇用する際にやらなければいけないことは例えば…

  • 労働条件の明示
  • 雇用契約書の用意
  • 社会保険への加入
  • 労働保険への加入
  • 給与計算の用意
  • 勤怠管理・給与計算システムの用意
  • 就業規則の作成
  • 求人を出す
  • 障害者を一定割合雇用
  • 税金の手続き

上記を全て自力で進めると本業に割く時間が減るか労働時間が伸びるかのどちらかです。

人を雇用するまでの数ヶ月だけ社労士にサポートを依頼するのもいいですし、そのまま顧問契約するのもいいかと思います。

従業員の人数が10人に達しそう

社労士に依頼するのであれば従業員規模10人がひとつの目安です。従業員が10人になると就業規則の作成と届出が義務になるためです。

社内のルールや就業規則の内容を確定・再検討する機会なので、社労士と相談をしたうえで法令違反をしないような仕組みを検討されてはいかがでしょうか。

人事労務担当者の採用を検討している

勤怠管理や給与計算の業務量が多くなってくると、担当者の採用を検討されるかもしれません。人を1人雇用するとトータルで月40万円前後かかります。

採用予定の人に他にどの程度業務を任せるかにもよりますが、給与計算や労働・社会保険に付随する業務を任せるだけであれば社労士に外注した方が20万円以上安く済む可能性が高いので、見積もりをしてからご判断されるといいでしょう。

勤怠管理や給与計算、保険の手続きが間違っていないか不安

給与計算まわりの業務にミスがあると、従業員の信頼を損ねたり、残業代を請求されたりする恐れがあります。

Freee人事労務のアンケートでは、人事労務担当者の6割が業務に不安を抱えており、特に勤怠管理、給与計算、入退社処理に不安があると回答しています。

引用元:6割以上の人事労務担当者が「労務業務に対する不安」を抱えている実態が明らかに。マネジメント層と担当者の認識にギャップも|HRpro

社労士に最終確認を依頼したり、手続きを丸ごと外注したりすることで上記の不安は解消できます。

昔作った就業規則が大丈夫か気になりだした

就業規則作成から時間がたつと、実際の運用と就業規則の記載の間にギャップが生まれることも珍しくはありません。昔作った就業規則が不安になり始めたら社労士に依頼をするといいでしょう。

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就業規則に加筆・修正を加えるだけであれば単発で問題ありません。労務管理に関して継続的な改善をした方がいい場合は顧問契約をするといいでしょう。

賃金や残業代のルールが大丈夫か気になりだした

職場のルールの中でも賃金や残業代に関するルールは問題になりやすいです。問題があった場合に請求される金額が100万円単位になることもありますし、複数の従業員に請求されることもあり得ます。

他の従業員からの信頼を損ねることもあり、経営を傾けかねない問題なので、気になることがあれば早いうちに対応しておくのが無難です。

雇用や労働に関するルールや施策についての相談相手が欲しい

人事労務に関して定期的にわからないことが発生するのであれば、相談だけの顧問契約をするといいでしょう。質問が個別具体的になるほど検索して調べても答えがわからなくなります。

どんな法律や判例があるのかについては検索すればわかりますが、法律への解釈があっているかどうか確認するのは検索エンジンだけでは心許ないです。

まだ顧問社労士は必要ない!3つのケース

顧問社労士の出番がないようなケースをご紹介します。

従業員がおらず今後も雇用する予定がない

社労士の対応業務は基本的に人を雇用した後に発生するものばかりです。

例外として、建設業などの一人親方の労災特別加入制度の手続きを依頼できますが、これも単発で依頼できるので顧問契約の必要はありません。

業務量が少なく社内で対応した方が安い

従業員が少なく、社内で業務を処理できているのであればまだ社労士は必要ありません。

ただ、従業員を初めて雇用する段階で社労士に依頼をされる方もいらっしゃいます。初めて人を雇用する際は準備しなければいけないことが多いためです。

社労士に依頼をするかどうか、顧問契約をするかどうかについては、業務負担や不安の程度で判断されても大丈夫です。

依頼したい業務はあるが単発で済む

具体的な手続きを一度だけお願いしたいような場合は顧問契約をしなくても問題ありません。

単発で済むような業務は例えば…

  • 就業規則の作成・見直し
  • 社会保険の算定基礎届
  • 労働保険の年度更新
  • 社会保険・労働保険の新規適用
  • 労働契約書の作成
  • 労働条件の見直し
  • 社内のルール・制度への相談・アドバイス

単発で済む業務と、継続的に依頼した方が無難な業務については以下の記事で詳しくご説明しています。

顧問社労士へのよくある不満

当サイトに寄せられることが多い顧問社労士への不満をご紹介します。

これらの不満は、企業が求める業務内容と、選んだ社労士が提供している業務内容が違うことによって起こります。

編集部
「費用を支払っているのだから、社労士側から提案して欲しい」というお考えはよくわかります。しかし、経営者の悩みは企業によってさまざまなので、コミュニケーションをせずに具体的な要望を察するのは困難です。多少面倒ではありますが、相手のアクションを待たずに、こちらが期待することを明確にどんどん伝えて、すり合わせをした方が、結局費用対効果が高いです。それでもダメなら社労士を変更しても全く問題ありません。

経営者の立場に立っていない

よくある不満ではあるものの、依頼前に確かめるのが難しいポイント。

社労士の仕事は法令違反にならないようなルールを作ることなので、良くも悪くもまずいことはまずいと言ってくれます。

ただ、経営者としては、まずいのはわかった上で、どのように落とし所を見つけるかに興味があるはずです。事実を伝えるだけでなく、解決の方向性を一緒に考えてくれる社労士を見つけたいところです。

現在の社労士が経営者の立場に立っていないと感じる場合、要望を具体的に伝えても対応が変わらなければ、すぐ社労士を変更するのが無難です。

何も提案してこない

助成金や法令改正の情報など、社内だけでは集められない情報の共有を社労士に求める方もいらっしゃいます。

ただ、サービスを提供する側からすると、情報の共有や提案に関する業務はどちらかというと枝葉にあたります。

顧問契約をする前後で、どんな情報をどんな頻度で提供してほしいのかを具体的に取り決めし、できれば契約書の内容にまで落とし込めるとこの不満についてはかなり減らせそうです。

ただ、共有してほしい情報は社内では気づけない情報であることが多いので、具体的にどんな情報が欲しいのか社労士に伝えるのは難しいかもしれません。

こんな場合は、以下3点の情報を1~6ヶ月に1回、または不定期で共有するよう伝えるといいでしょう。

  • 自社が受給を目指せそうな助成金の情報
  • 人事労務に関連する法令改正の情報(法令改正があったタイミングで共有)
  • 自社が依頼している業務に関連する法令改正の情報(法令改正があったタイミングで共有)

ITツールの知識がない

ツールの設定については社労士ではなく、ツールを提供する企業のサポートデスクに問い合わせるのが無難です。

理由は次の4点です。

  • ツールの設定は一般的な社労士業務ではないので、できる人とできない人がいる(できればラッキー)
  • ツールによって管理画面の操作方法が違うので、社労士であろうとなかろうと0から設定方法を調べなければいけない点は同じ
  • ツールの設定方法はツールを提供する企業の方が詳しい
  • ツールの設定を社労士にお願いしたい場合は、ツール設定やDXサポートを謳う社労士に相談する

助成金受給後、依頼することがなくなった

契約当初依頼していた業務が完了して、頼むことがなくなったものの顧問料を毎月支払っているパターンです。依頼することがなくなったら解約しましょう。

自社にぴったりの顧問社労士を見つける問い合わせ文章を書く手順

社労士が提供している業務と、こちらが対応して欲しい業務の食い違いから顧問社労士への不満が生まれることが多いとお伝えしました。

問い合わせをする際にこちらの要望を過不足なく伝えることで、ミスマッチをある程度防ぎやすくなります

以下、自社にピッタリの社労士を見つける問い合わせ分の例文と、初めての問い合わせをする際に書くといいポイントをご紹介します。

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社労士に送付する問い合わせ例文

初めまして。株式会社〇〇の△△と申します。

以下の業務を外注できる社労士を探しておりご連絡いたしました。

 

【依頼したい業務】

・勤怠管理

・給与計算

・労働保険

・社会保険

・相談

(上記業務をどこまでは社内でやってどこまでは外注するか共有したい場合はその旨を説明)

 

【依頼したい期間】

毎月

 

【従業員規模】

10人

 

【困っていることや不安点】

・今の社労士が経営者の立場に立ってくれない

・今の社労士がツールの設定をしてくれない など

 

【希望すること】

・見積もりをお願いします

・〇〇県に通える社労士でお願いします

・〇〇業界の経験がある社労士を希望しています

・(ツール名)の設定をお願いしたいです

・チャットワークでの連絡を希望します

・法令改正の情報や助成金の情報を数ヶ月に一度共有していただきたいです

 

以上でございます。よろしくお願いいたします。

依頼したい業務を箇条書きにする

  • 相談 (何を相談したいか。単発か継続か)
  • 手続き(どの業務依頼したいか。単発か毎月か数ヶ月ごとか)

相談だけをしたいのか、手続きを依頼したいのか、両方依頼したいのか。

手続きを依頼するのであればどの業務依頼したいのかを箇条書きで書くようにするとスムーズです。

依頼したい業務が明確でない場合は、ざっくりとどんなこと依頼したいのか記載したうえで、他に対応してもらえる関連業務があるかどうかを質問するといいでしょう。

従業員人数を明らかにする

例えば給与計算は従業員の数で費用が決まります。従業員の人数を伝えることで正確な見積もりをもらいやすくなります。

こちらの要望を明確に伝える問い合わせ文を作る

上の例文を参考に以下のような点を伝えます。

  • 依頼したい業務の種類
  • 単発か継続か
  • 依頼したい期間
  • 従業員規模
  • 懸念点不安点
  • 希望すること

上記をわかる範囲で詳しく書くとミスマッチを防ぎやすくなります。

複数の社労士事務所に見積もりを依頼する(自社だけの相場を知るため)

問い合わせの文章ができたら、複数の依頼先候補に問い合わせをするのが無難です。希望する業務を依頼した場合、どのくらい費用がかかるのが普通なのか、自社にとっての相場がわかるためです。

社労士の対応や提案も比較できるので、必ず複数の依頼先候補に問い合わせをされることをおすすめします。

当サイトからも社労士の一括見積もりができます。何度も文章を送らなくても楽に社労士を比較できます。ぜひご利用ください。

顧問社労士の費用相場

社労士と顧問契約をした際の費用相場をご紹介します。

顧問料相場は従業員規模に応じて月額1万円~17万円程度

社労士の顧問料の相場は月額1万円~17万円程度です。昔は旧報酬規定というものがあって社労士の顧問料が一律に定められていました。旧報酬規定と同じくらいかもう少し安い金額であれば概ね相場通りの金額です。

料金表は次のとおりです。

表:顧問報酬の月額費用(横にスクロールできます)

人 員 数4人以下5~9人10~19人20~29人30~49人50~69人70~99人100~149人150~199人
報酬月額21,000円31,500円42,000円52,500円63,000円84,000円105,000円136,500円168,000円

個別の手続きを依頼した際の社労士費用相場

手続きごとの社労士費用相場をご紹介します。事務所によって以下の料金が顧問料に含まれていたり含まれていなかったりするので、依頼したい業務を伝えて見積もりをしてもらうといいでしょう。

より詳細な社労士費用相場については以下の記事でも解説しています。あわせてご確認ください。

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相談料1時間あたりの社労士費用相場

相談料5,000円~1万円/1時間
依頼を検討している方の初回相談(面談)無料

助成金の社労士費用相場

助成金の申請着手金0円

報酬金20%~

※別途就業規則の作成・修正が必要になることも。就業規則の費用の表をご参考ください。

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就業規則作成・修正の社労士費用相場

就業規則作成50,000~150,000円
就業規則修正20,000~30,000円
諸規定作成30,000~50,000円
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給与計算の社労士費用相場

給与計算従業員数月額
基本料金10,000~30,000円

従業員1名あたり500円~1,000円

従業員数5~9人+5,000円~
従業員数10~19人+10,000円~30,000円
従業員数20~29人+20,000円~4,5000円
従業員数30~49人+40,000円~70,000円
従業員数50人~+50,000円~80,000円
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給与計算を社労士に依頼した場合、従業員が10人の場合2.5万円~5万円程度の費用で給与計算をすべて任せられます(従業員数が少なければもっと安い)。会社の規模にもよりますが、給与計算担当者の日給と給与計算ツールプラスアルファの費用で、[…]

労働保険・社会保険の社労士費用相場

労働保険年度更新3万円~10万円

※人数により変動

社会保険算定基礎届
社会保険・労働保険の新規適用3万円~5万円
社会保険・労働保険の資格取得1万円~2万円/1件
社会保険・労働保険の資格喪失5,000円~1万円/1件

障害者年金申請の社労士費用

障害者年金申請初回相談:無料

着手金:1~3万円

成功報酬:以下のうち高い方

年金額の2ヶ月分

または

遡及された場合は遡及分も含めた初回入金額の10~20%

まとめ

顧問社労士に依頼できる仕事内容や、顧問契約が必要になるタイミングなどをご説明しました。

社労士は従業員とのトラブルを未然に防ぐためのルール作りや、給与計算や労働・社会保険の手続き代理が得意です。

従業員を初めて雇うタイミングや、従業員の人数が増えてきたタイミングなど、職場のルールが気になり始めたときや、手続きの負担が大きくなってきたときに社労士との顧問契約をするのが良さそうです。

社労士が提供している業務と依頼したい業務の間にギャップがあると不満につながりやすいので、依頼前に依頼したい業務を明確に伝えたり、状況が変わったら顧問契約を終了したりするのが良さそうです。

当サイトを使うと、複数の社労士に一括で見積もりができます。社労士との顧問契約や業務の外注をお考えの方はお気軽にご利用ください

 

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