テレワークをするにあたって、勤怠管理に頭を悩ませている経営者の方は多いでしょう。確かにテレワークでは、労働の実態が見えませんので、「きちんと働いているのか?」「無駄な残業は発生しないのか?」という心配は付きものです。
今後は、テレワークでもしっかり勤怠管理を行う方法や、勤怠管理を手伝ってくれるツールをご紹介します。勤怠管理などの懸念点も多いテレワークですが、反対にメリットも多くあります。ぜひこれを機にテレワーク導入に一歩進んでみてください。
テレワークで直面する勤怠管理の問題
テレワークは今までとは違った働き方になるので、少し導入を戸惑わせるような課題もいくつかあります。その中の1つに勤怠管理の問題もあり、「従業員がリモートでもきちんと働いてくれるのだろうか?」と、心配されている方も多いでしょう。
まずは、テレワークで直面する勤怠管理の問題から挙げてみたいと思います。
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業務の開始時間と・終了時間の把握
従業員の業務開始時間と、終了時間を把握・管理するため、所定の時間になったら必ず業務開始と終了の連絡を報告するスキームが必要です。報告の方法としては、
- メールでの報告
- 電話報告
- 勤怠管理ツール(始業・終業時刻管理システム
- チャットによる報告
- Zoom等による業務中は常時通信中にしておく など
図:チャットツールによる勤怠報告の例
想定される課題として、始業・終業時刻を変更する場合です。テレワークによって通勤時間が削減されるため、通常より早く業務を開始するケースや、仕事中に業務を中断することを認めかどうかについても、運用ルールをあらかじめ決めることが必要です。
やむを得ない事情による離席のルール
また、子供が家にいる家庭の場合や、要介護者がいる場合、テレワークの利用によって普段はなかった家庭内の雑務が発生し、やむを得ず業務を一時中断しなければいけない必要が生じる可能性は大いにあります。
その際の時間を労働時間に含めるのか、勤怠管理上は休憩にあたるのか、共通するルール化が求められます。
従業員のサボり問題
多くの経営者が懸念している内容が、「テレワークにして従業員がきちんと働いてくれるだろうか?」という問題です。テレワークでも始業・終業の時間はメール等で把握することができますが、問題は作業内容の実態です。
自宅での作業ですから、途中に家事を挟んだり、お子様とのふれあいなど、ある程度目をつぶって黙認すべき部分も出てくるでしょうが、あまりにも業務効率が落ちるようであれば、テレワークの制度自体を見直す必要性も出てきそうですね。
参考:「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究|株式会社情報通信総合研究所」
ただ、実際はテレワークを導入した自治体の9割以上が「何かしらの成果が上がった」と答えていますので、しっかり準備をして導入すればプラスになる可能性が高いと言えます。
従業員の残業問題
テレワークになったからといって、残業代の支払い義務がなくなる訳ではありません。たとえテレワークでも、法定労働時間を超えた労働時間は、割増賃金として残業代を払う必要があります。
しかし、勤怠管理が難しくなるテレワークでは、「後から高額な残業代が請求された」「無駄に残業させていた」といった問題も起こりやすくなってしまいます。特にテレワークの勤怠管理では、この実労働時間をしっかり管理する必要があります。
無申請で残業できる状態でテレワークを始めてしまうと、残業代稼ぎのためにダラダラと働く従業員も出てくるかもしれませんし、反対にテレワークでしっかり働かせるためにと業務を与えすぎると、テレワークでも働きすぎや未払い残業代問題が発生することがあるのです。
テレワークでもしっかり勤怠管理を行う方法
このようなテレワークでの勤怠管理の問題もありますが、しっかり準備して取り組むことで、従来の働き方よりも成果を上げることすら期待できます。
現在は、新型コロナウイルス感染拡大防止のために半ば強制的にテレワークを始める企業も多いですが、新型コロナウイルスが終息した後も上手にテレワークを取り入れることで、業績UPにも繋がるでしょう。
こちらでは、テレワークでしっかり勤怠管理をする方法についてご説明します。
まずはしっかり就業規則でルールを明文化する
以下で細かい決め事はお伝えしますが、何より大事なことが決めたルールを明文化しておくことです。テレワークを導入するのであれば、テレワーク用の就業規則を新たに作るようにしましょう。
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始業・終業時の報告方法を決める
まずは勤怠管理の肝である出退勤をどのようにして記録するかを決めておきましょう。勤怠管理ツールを導入するのであれば、出退勤の打刻もツールで行うことができますので、ツールを間違いなく使ってもらえば良いのですが、問題はツールを取り入れない場合です。
ツールを使わない場合、メールやチャット、電話などで始業と就業を報告してもらいます。
コストもかからずすぐに決められる内容ですが、毎月の勤怠集計を行う時に毎日の始業時間を集める手間が出てきます。テレワークを行う従業員が多いようでしたら、前向きに勤怠管理ツールも検討してみてください。
目標・成果をきちんと定める
「テレワークできちんと働いてくれるのか心配…」という場合には、きちんとやるべき業務と目標を明確に提示しておきましょう(こちらは就業規則への記載は不要ですが)。
期間を決めて終わらせてほしい業務がはっきりしていれば、普通の労働者ならサボらずに終わらせるよう努めますし、早く終わったってから自分の時間を確保するものです。結果的に無駄な残業も減って、労使共にメリットのあるテレワーク本来の良い働き方が期待できます。
気を付けることが、きちんと働いてもらいたいからといって、大量の業務を与えてしまわないことです。いくらテレワークだといっても、与えられた労働時間内に業務が終わらないようであれば残業となりますし、長時間労働や過労死の危険性も出てきます。働かせすぎてはならないことはテレワークでも同じです。
残業の有無とルールを決める
勤怠の実態が分かりにくいテレワークでは、残業代を申請・許可制にしている企業も少なくありません。残業せざるを得ない状況が発生し、上司などへ申告・許可が出た場合のみ残業し良いとあらかじめルールを作っておくことです。
そうすることで日中ダラダラ作業して、無駄に残業されるような事態も回避できるでしょうし、時間内に終わらせようと従業員の方も効率的に働いてくれます。
もちろん残業が減れば、企業にとっては人件費削減、労働者にとっては自分の時間が多く確保できますのでWin-Winの取り組みでしょう。
勤怠管理ツールを導入する
テレワークで懸念される勤怠管理の問題を手っ取り早く解消したいのであれば、勤怠管理ツールを取り入れることが一番でしょう。勤怠管理ツールを使えば、出退勤の管理も簡単ですし、業務の進捗情報などの管理も行えるものもあります。
ツールを元に集めたりデータを使って給与計算もしやすくなります。勤怠管理ツールの選び方やおすすめについては後述しますので、ぜひ参考にしてみてください。
チャットアプリやWEB会議ツールを導入する
勤怠管理ツール以外にも、チャットアプリやWEB会議ツールなど、遠隔でもコミュニケーションが取りやすいツールを導入しておくことで、勤務時間中の行動をある程度監視することができます。
WEBカメラを使えば空間を共有できますし、頻繫にチャットがやり取りされているのであれば、労働者も仕事のパソコンをほったらかしで他の行動がしにくくなりますね。
ただし、テレワークの魅力としてある程度の自由度や労働者の裁量に任せられる部分もあります。あまりガチガチに監視しすぎると従業員から反感を買うおそれもありますので、窮屈になり過ぎない程に管理することを目指しましょう。
テレワークにおすすめの勤怠管理ツールはどう選ぶ?比較すべきポイントと選び方
上記でテレワークでの勤怠管理を行うなら勤怠管理ツールを使うことがおすすめだとお伝えしましたが、最後に勤怠管理ツールの選び方や代表的なツールをご紹介します。参考にしながら、最終的には費用面をしっかり考えて導入を検討してみてください。
まず、テレワークで勤怠管理ツールを選ぶにあたって、以下の点は特に注意して確認しておきましょう。
労働時間の記録ができる
勤怠管理ツールですから、出退勤などの実労働時間の記録ができることは必須ですね。フレックス勤務への対応や業務の中断などに対応できるツールもありますので、必要に応じて機能を探してみてください。
また、打刻のしやすさ、集計、計算、管理のしやすさも判断ポイントです。実際に使ってみないと分からない部分もありますので、無料トライアルがあれば試してみましょう。
作業状況の確認ができる
テレワーク中の従業員の行動をある程度行いたいのであれば、作業状況を管理できる勤怠管理ツールがあります。例えば、WEBカメラで一定時間の作業状況報告、遠隔でPCのスクリーンショットを共有、退席・着席の管理ツールなどがあります。
また、営業職として外出することがある社員の管理には、GPS機能が付いたツールもあります。
給与システムとの連動
ここが大事なポイントですが、すでに給与計算システムを導入しているのであれば、給与計算システムと連携できる勤怠管理ツールを使うようにしましょう。もし互換性がなければ、余計な手間がかかり、作業効率も下がってコストもかかってしまいます。
もし、社労士や税理士などの外部に給与計算関係を委託しているのであれば、委託先が何かしらのツールを使っている可能性もありますので、一度確認をすることをおすすめします。
【無料あり】代表的なおすすめ勤怠管理ツール3選
上記の内容を踏まえて、体表的なおすすめ勤怠管理ツールを3つご紹介します。現在導入している給与計算システムや求める機能などを確認しながら探してみてください。
ジョブカン勤怠管理
『ジョブカン勤怠管理』は、出退勤管理やシフト管理など、勤怠管理に特化したツールでシンプルで使いやすいシステムになっています。
追加で使える機能は少ないのですが、その分料金も有料プランで従業員1名あたり月額200円からと手軽に利用できる部分がポイントです。30日無料プランがありますので、臨時的なテレワーク導入で取り急ぎ勤怠管理ツールだけ取り入れてみたい方はお試しください。
jinjer勤怠
『jinjer』は、勤怠管理ツールに併せて人事労務管理もオプションで使える勤怠管理ツールです。勤怠管理システムだけなら、従業員1名あたり月額300円での利用が可能です。
併せて給与計算や人事管理のツールも使うことができますので、これを機にツールで管理運営を行いたいと考えていた場合には導入も検討してみてください。
人事労務freee
【公式】https://www.freee.co.jp/hr/
『人事労務freee』は給与計算がメインのサービスになりますが、その中の機能での勤怠管理システムも使えます。他にも入社退社管理や年末調整など、人事労務全般の作業効率を高めてくれるツールです。
利用料金は給与計算込みの価格ですので、単なる勤怠管理ツールよりも高くなることがあり得ますが、給与計算などほかのシステムと一緒に導入するのであれば、十分納得できる価格帯でしょう。
勤怠管理ができる有料プランは月額基本料金3,980円~と従業員追加で月額500円/人がかかり、上記のツールより高くはなってきます。
まとめ
遠隔で働いてもらうテレワークでは、従業員の勤怠管理が課題の1つです。事前にある程度のルールを決めておかないと、あとあと残業代請求トラブルや業務効率の悪化にもつながります。
まずは就業規則でルールを明文化し、必要に応じて勤怠管理ツールも取り入れていきましょう。テレワークの最初の導入が上手くいき、軌道に乗ってくればメリットも多い働き方ですので、ぜひ前向きに検討してみてください。