人事労務に関して経営者の方が利用できる相談窓口には以下のようなものがあります。
- 全国社会保険労務士会連合会|社労士に相談できる
- ひまわりほっとダイヤル|弁護士に相談できる
- 中小企業庁|人事労務を含む経営全般を幅広く相談できる
- 社労士相談ドットコム|社労士費用の一括見積もりができる
人事労務に関して幅広いお悩みを相談できるように上記の相談先を選びました。
人事労務に関するルールを作って運用したい場合は社労士に、労使トラブルが発生していて、交渉を代理したい場合は弁護士に相談するといいでしょう。
この記事では、主に次の点をご説明します。
- 上記の相談窓口に相談できること
- 人事労務の相談は社労士と弁護士どちらにすればいいのか
- 人事労務に関して社労士に相談できることを具体的に
人事労務の電話・メール相談窓口4つ
人事労務の相談ができる窓口をご紹介します。
全国社会保険労務士会連合会|社労士に相談できる
厚生労働省の認可を受けて設立された機関です。
社労士に無料で人事労務に関して相談できます。
相談できることは例えば…
- 雇用契約や労働条件の適法性に関する相談
- 社会保険・雇用保険に関する相談
- 退職金や年金に関する相談
- 労使紛争に関する相談
- 人事制度に関する相談(人事評価、健康管理、セクハラ・パワハラ防止、ストレスチェック等)
相談できる時間 | 11:00~14:00(平日) |
相談料金 | 無料 |
連絡先 | 0570-07-4864 |
HP | 全国社会保険労務士会連合会 |
ひまわりほっとダイヤル|弁護士に相談できる
こちらも厚生労働省の認可を受けている機関です。
人事労務に関して、全国社会保険労務士会連合会のところでお伝えした内容と同じような相談ができます。
違いは弁護士に相談できる点です。社労士は依頼者の代理人として交渉や訴訟はできません。
以下に当てはまる場合は、ひまわりほっとダイヤルに相談するといいかもしれません。
- トラブルの相手方との交渉を代理してほしい
- 顧問弁護士を探している
相談できる時間 | 月~金(祝日除く) 10:00~12:00、13:00~16:00 |
相談料金 | 初回面談、30分間無料 |
連絡先 | 0570-001-240 |
HP | ひまわりほっとダイヤル |
中小企業庁|人事労務を含む経営全般を幅広く相談できる
中小企業のサポートを担当する独立行政法人です。人事労務を含めて、経営に関して幅広く相談できます。
相談できることは例えば…
- 資金繰りに関する相談
- 知的財産に関する相談
- 事業承継に関する相談
- 取引トラブルに関する相談
- 事業再生に関する相談
中小企業庁では、各都道府県に中小企業支援センターを設置しているので、対面で相談したい場合に利用しやすいかもしれません。
相談できる時間 | 月~金9:00~17:00 |
相談料金 | 無料(一部有料) |
連絡先 | ご意見・お問合せ |
HP | 中小企業庁 |
社労士相談ドットコム|社労士費用の一括見積もりができる
相談だけで解決しない場合は、社労士や弁護士に依頼することになります。
例えば以下のようなケースでは、社労士に依頼するのが無難です。
- 人事労務に関して具体的なルールを作って運用をする段階まで持っていきたい
- 人事労務に関するルールを就業規則に適切な内容で追記したい
- 人事労務に関するルールを社内に定着させたい
- 人事労務に関する手続きの一部を外注したい
当サイトでは、無料で社労士費用の一括見積もりができます。人事労務に関して相談できる社労士をお探しの方は是非ご利用ください。
人事労務の相談は社労士と弁護士どちらにすればいいのか
弁護士に相談するか社労士に依頼するか迷う場合は、具体的に依頼したい業務を決めると、おのずと相談先が決まります。
弁護士は(社労士よりも)費用が高いものの、相談できる業務と解決方法の幅が広いので、企業活動に関係する法律全般を相談したい方には向いています。
社労士は雇用に関する手続きや相談に特化しています。交渉の代理はできないので、紛争が発生した後の対応を任せたい方には向きませんが、トラブルを予防するためのルール作りや給与計算のような実務の代理は得意です。
それぞれに相談するべきケースは例えば…
弁護士への相談が向いているケース
- トラブルが発生した際の交渉や訴訟を代理したい
- 企業法務について幅広く相談したい
社労士への相談が向いているケース
- 就業規則の作成や確認を依頼したい
- 給与計算・社会保険労働保険の手続き代理を依頼したい
- 助成金の申請をしたい
- 相談や助言だけで今のところは十分(交渉代理を依頼する見込みがない)
以下、人事労務について社労士に相談した場合と弁護士に相談した場合の違いをご説明します。目的にあった相談先を選ぶために参考にしていただければ幸いです。
トラブルの予防はどちらも対応できる
トラブルが起きないようにするための対策は社労士も弁護士もできます。
トラブルを防ぐためにやることは例えば…
- 就業規則の作成や見直し
- 働き方に関するルールの作成や見直し
- 社員向けの講習(例:ハラスメント予防)
トラブル発生時は弁護士の方が幅広い対応ができる
具体的にトラブルが発生していて、相手方への交渉や訴訟を代理してもらいたい場合は弁護士に相談することになります。
社労士は、あっせんという当事者間の話し合いに社労士が同席して和解を目指す手続きができます。裁判をするよりも費用と手間がかかりません。
社労士は依頼者の代理人として相手方との交渉はできません。
費用は弁護士の方が高い
費用は弁護士の方が高額です。
依頼予定の業務が社労士業務の範囲内で収まる場合は社労士に、収らない場合は弁護士に相談することになりそうです。
社労士に相談・依頼できることは、おおまかに以下の3種類です。 手続きの外注:給与計算、労働・社会保険、勤怠管理、助成金 など 社内のルールに関する相談:従業員とのトラブルを未然に防ぐ仕組みづくり全般を相談可能 人事労務[…]
弁護士に相談をする場合は人事労務領域の経験があるか確認を
弁護士は幅広いトラブルに対応できます。事務所ごとに得意な案件が異なるので、「労務 弁護士」や「企業法務 弁護士」などで検索をして、人事労務の案件を扱った経験がある弁護士の中から依頼先を選ぶのが無難です。
人事労務に関して社労士に相談できること
人事労務に関して社労士に相談できることは次のとおりです。
- 採用・人材定着のための対策
- 賃金や評価制度をどうするか
- 福利厚生をどうするか
- ハラスメントの予防
- 問題社員への対応
- 退職トラブル
- 就業規則の作成・見直し
- 労務デューデリジェンス
- 助成金受給のアドバイス・申請代理
社労士によって得意な手続きが異なる可能性があるので、人事労務に関する業務を依頼する場合は複数の社労士を比較できると安心です。以下、人事労務について社労士に相談できることをご説明します。
採用・人材定着のための対策
事業立ち上げ初期段階であれば特に、人材の採用に苦戦している事業者の方もいるかもしれません。
社内に人材採用のノウハウがない場合は、社労士にコンサルを依頼するのも一つです。
社労士であれば、優秀な人材の採用から定着までに必要な対応を助言できます。
余談ですが、筆者は立ち上げ初期の企業で働いていたことがあります。初期であればあるほど採用した人がすぐに辞めていくことが多かったように思います。他の従業員も自分の業務で精一杯なので、人材を定着させることを考える余裕がある人はいなそうな雰囲気でした。
もし採用した人材を定着させるための取り組みをまだしていないのであれば、社労士に相談すると採用コストの無駄を減らせるかもしれません。
賃金や評価制度をどうするか
昇進・昇給制度をどうするか相談できます。昇給の基準が曖昧だと従業員の評価が報われないので優秀な人ほど辞めていく原因になり得ます。
従業員を常時10人以上雇用する場合は就業規則の届出が義務付けられます。
昇給のルールについては就業規則に必ず記入しなければなりません。就業規則に昇給について記載するためには、昇給についてどのようなルールにするのか検討することになります。
昇給をする以上事業の成長とリンクするような決まりにしたいところです。
福利厚生をどうするか
適切な福利厚生を導入すると、優秀な人材の採用や従業員の定着に効果があるかもしれません。
ただ、福利厚生を一度導入すると、内容を変更しにくい点は注意が必要です。福利厚生の変更は不利益変更にあたる可能性があります。この場合、変更をするために従業員の同意が必要です。
変更できたとしても士気は下がるので、福利厚生を導入するのであれば今後変更しなくても済む程度に内容を検討したいところです。
ハラスメントの予防
ハラスメントを防ぐための対策は主に次のとおりです。
- ハラスメントをした社員への対応を明確にする
- 社員教育をする
- 社内相談窓口をおく
- (問題発生時に)適切な調査をする
- 再発防止のための取り組みをする
上記対策を社内で完結することもできますし、より有効な対策をしたい場合は社労士の助言を取り入れることもできます。
問題社員への対応
問題社員を放置しておくと、他の社員のモチベーションにも悪影響になりうるので、できるだけ先回しにせずに対応したいところです。
問題の種類は個別具体的なので、状況に応じた対応をしなければなりません。対応方法を間違えると「労基に行く!」などと言われることもあるかもしれないので、適法性のある対応をしなければなりません。
社内で対応するうえで不安がある場合は、問題社員への対応を社労士に相談するといいかもしれません。
退職トラブル
社労士に依頼すると、社員退職時に賃金未払いや不当解雇を主張されないようなルールを作って就業規則に落とし込めます。
就業規則の作成・見直し
テンプレートを使って就業規則を作ることもできますが、自社や業界特有の事情を就業規則に落とし込むのは困難です。自社の運用どおりの就業規則を作るには、社労士に就業規則の作成や見直しを依頼するのが無難です。
就業規則の作成を社労士に依頼すると、自社特有の運用を適切に条文に落とし込めるので、従業員とのトラブルを未然に防ぎやすくなります。とはいえ、就業規則の作成を0から依頼すると15万円~40万円程度かかるので、就業規則の作成を最初から任せ[…]
労務デューデリジェンス
労務リスクを評価して適切なリスクマネジメントをするために、企業の労働環境や老層条件を調査することを労務デューデリジェンスといいます。M&AやIPOを目指す場合に必要になります。労務デューデリジェンスをするために社労士に依頼をすることがあります。
デューデリジェンスという言葉は、「Due(当然の、正当な)+Diligence(精励、努力)」から形成されています。デューデリジェンスというとM&A(企業買収や合併)やIPO(株式上場)を行う際に、財務・法務など問題点を洗い出すため[…]
助成金受給のアドバイス・申請代理
助成金の申請を社労士に依頼した場合の相場は、成功報酬の20%~です。経営者への金銭的リスクは少ないです。
助成金は、雇用安定につながる取り組みをしている企業をサポートするためのお金です。
人を雇用している企業であれば、助成金を受給できるチャンスがあるかもしれません。
助成金をもらいたいけれども、自分で申請するのと社会保険労務士に依頼するのとでは、どちらの方が良いのかな?と悩む人もいるでしょう。私は人事・労務担当者ですが、過去に自分で助成金申請をしたことがあります。結果的に受給には成功した[…]
人事労務の相談ができる社労士を社労士相談ドットコムで探すメリット3つ
当サイトを使って社労士を探すメリットは次の3つです。
社労士費用の一括見積もりができる
社労士に依頼したい業務を当サイトのフォームに入力して送信すると、複数の社労士から見積もりが届きます。
箇条書きでも構いませんので、依頼したい業務や従業員数を詳しめに伝えると正確な見積もりを得やすくなります。
同じ文面が複数の社労士に同時に届きますので、社労士の回答や具体的な費用を比較するする際に便利です。個別の社労士事務所にそれぞれ問い合わせをするような手間がかかりません。
土日夜間に労務相談ができる社労士を探せる
平日の日中にどうしても時間が確保できない場合は、問い合わせフォームに相談時間の希望を入力すれば、希望時間に対応できる社労士を見つけやすくなります。
人事労務の相談ができる社労士を無料で探せる
当サイトは無料でご利用いただけます。社労士と契約したり、有料相談をしたりするまで費用は発生しません。
まとめ
人事労務の相談窓口には以下の4つがあります。
- 全国社会保険労務士会連合会|社労士に相談できる
- ひまわりほっとダイヤル|弁護士に相談できる
- 中小企業庁|人事労務を含む経営全般を幅広く相談できる
- 社労士相談ドットコム|社労士費用の一括見積もりができる
具体的にルールを作って就業規則に反映したい場合や、業務を外注したい場合は社労士に、トラブル相手との交渉代理を依頼したい場合は弁護士に相談をするといいでしょう。